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身体表現の最前線を志向するコンテンポラリーダンサーの護堂恒明は、事故で右足を失いAI制御の義足を身につける。彼は、人のダンスとロボットのダンスを分ける人間性の手続き(プロトコル)を表現しようとするが、待ち受けていたのは新たな地獄だった――。
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Posted by ブクログ
AIといえば遠からず人類の知性を凌駕するのではないかという怖れについて語られがちだが、本作で追求されるのは肉体(運動)の方である。機械的動作や競技運動を超えた究極の活動とも言えるコンテンポラリーダンスを義足でも満足に踊れるのか、ましてや観客の前でロボットと協演できるのか、という困難な命題に主人公に挑...続きを読む戦させて、著者は見事な文章力により音があり動きの見える感動的な踊りの舞台を描き切ることに成功する。 【付記】表紙絵は、最後の晩餐の前に弟子の足を洗うというキリストの逸話を描いたマドックス・ブラウンの作品の一部を拡大したもの。
時代設定が2050年代でAI技術が発達していることを除くと、SF要素はあまりない。 事故で右足を失った若いコンテンポラリーダンサーが主人公。彼はAI制御の義足を身につけることになる。彼の父は高名はダンサーであり、彼も父を追って身体表現の高みを目指していた。 その父親が交通事故を起こし頚椎...続きを読むを痛め、同乗していた母は亡くなってしまう。さらに父親は認知症が出始め、一人で介護せざるを得なくなる。なにやら重苦しい展開になり、読み続つけるのがしんどくなった。自分も親の介護の経験があるので、主人公の気持ちが痛いほどわかるのだ。あとがきを読むと、作者も親の介護を経験したとのこと。 主人公は親の介護に苦悩すると同時に、人のダンスとロボットのダンスを隔てる「人間性の手続き/プロトコル」を表現しようと苦悩する。SFというよりは、純文学の香りがする。 ☆はあくまでSFとして読んだ評価です。第54回星雲賞、第44回SF大賞受賞作。
一番好きな作家というのはいないけど 一番好きな本はあって それ書いた人なので 見つけて嬉しがって買ったはいいけど なかなかに手強かった SFの定義をいまいちわかってないので 期待してたSFではなかった なんかもっと未来感が満々なのかと そういうんじゃなかったけど とても、とっても胸にくるお話だった...続きを読む 技術的な説明が苦手な人は そもそも読まないとは思うけど その部分がちょっと多めかなと感じる ただ個人的にわからないからこその やみくもな憧れがあるので そういう部分については 必死で読んだ 物語としては 激アツで、ここに自分もいたい! って思えたので がんばって読んでよかったなぁと思う 憧れ補正が多少ありつつ 星は4つ
人間性を表すプロトコルとは何か。AIとのダンスを通して描かれる。人と人の繋がり、その先にある生と死を感じさせながらその大きな疑問に迫っていく。
恐ろしくも真面目な愛の物語。AIとの共生と理解を謳いながら、真実は理解されない人と人とのプロトコルである。父の介護の場面は涙した。
1人の人間が挫折や困難を乗り越え懸命に生きようとする物語としてとても面白かった。 一方で、「人間性を伝えるプロトコルとは?」といったタイトルにもなっている疑問に対する洞察としては読み終わった今でもなんだかスッキリとせずぼんやりとしたままだ。人がダンスを見て、他の人間を見て、受け取るメッセージや情動が...続きを読む生じるメカニズムは、おそらく端的な言葉で説明可能だろう。そういった説明可能な分かりやすい言語化、洞察をこの小説はしようとしない。それがあえてなのかどうかは分からないけれど。
共生義足、ダンスロボット、振付AIなど 難しいことは半分もわからなかったけど ダンスを言葉で表現することに挑戦し その苦難と熱がひしひしと伝わってきた。 最後に描かれる人間とロボットのコラボを 実際に観てみたいと思った。
2022-11-17 ダンスに関しては完全に門外漢で、コンテンポラリーの舞台なんて数える程しか見にいったことがない。そんな自分でもダンス空間には魅せられた。 その小説は、その理由の一端を解き明かしてくれたような気がする。それもスペキュレイティブな描き方で。 さらには、リモートでのコミュニケーションの...続きを読む問題を(間接的に)炙り出しているようにも見える。しかし、永遠子とのやり取りの多くはテキストベースであり、イヤでも最初は直接コンタクトか。そちらの問題はこの小説の範囲ではないね。 そして、森との関係-おそらくもう1つのテーマ-については、自分の経験との重なる部分もあり、どうしても思い出してしまう。そして自分に恥じることも。 この感覚を言語化する能力はわたしにはない。そしてもちろん、ダンス化する能力は微塵もない。 傑作です。ダンス版のprotocol of humanity も観なきゃな。
軽快な藤井太洋に比べると重すぎて、娯楽としての読書的には満点にはせず。 ただ、「文学」としてのインパクトはこちらの方が上ではある。 泉鏡花文学賞とか、あるかな?
事故で義足になったコンテンポラリーダンサーのお話。2050年くらいのちょっと先の将来の話で、SFにジャンルされてるけど、あくまで現在の延長としての現実的な世界観として受け入れられる。途中ちょいと都合のいい展開に読み進めるのを躊躇したものの、クライマックスに向けてのダンスの描写は素晴らしかった。
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長谷敏司
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