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〈桐生の養蚕農家の娘として生まれた芳乃〉と〈東京でトリマーとして働く詩織〉。伝説の織物「山笑う」をめぐり〈昭和〉と〈現代〉、決して交わるはずのなかった、ふたつの運命が、紡ぎ、結ばれていく。母の束縛、家のしがらみ、そして、最愛の人との離別……。抑圧と喪失の「その先」を描く、感涙必至のてしごと大河長編。
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Posted by ブクログ
自然界にある色彩がいかに素敵で しかもそれを糸にうつし取り、染め上げるなんて うっとりと憧れる世界。 またその様を表現する描写の素晴らしさはもちろん 芳乃と詩織それぞれの人生も興味深く なかなか読み応えのある作品だった。
とても素敵な作品でした。 前半は母の毒が、苦しかったけど 読み進めるうちに、 その母にも抱える思いがあったことを知る。 ADHDをこんな切り口で扱う物語もあるんだな。 織り人たちの「業」と「喜び」 戦時下の日々、ADHD、 色々なテーマが詰め込まれているので、 読み手によって、感じ方もそれぞれ...続きを読むかもしれない。 私にとっては大満足の一冊です。
桐生の伝統機織物と現代を結ぶ物語。トリマーとして働く詩織は縫うのが好きだったのだが、母親が許さなかった。それは物語の途中で明らかになる。現代と過去を行ったり来たりしながら運命的なモノを感じる。中々の大作である。
縦の糸はー横の糸はーという名曲もあるように、 本当に人生は織物のよう。 人との出会いがきっかけで、 自分のルーツが分かったり、 新しい世界が開けたりする主人公が、 この先どのような人生を歩むのか。 辛いこともあるだろうけど、 自分で選んだのだから、 幸せになると信じてる。
昭和12年。 養蚕農家の娘である芳乃は、季節の草木から染料をつくり、生糸に染め上げて織る作業までを自らするのが至福であると思っていた。 だが、桐生の新田商店の次男に見初められ嫁いで以降も織物には携わっていたが、戦争もあり人生は揺れ動いていた。 現代。 母子家庭で育った詩織は、母親の支配や干渉無しで...続きを読むは生きられないのか…というもやもやとした感情の中で、仕事の後こっそりと機織り工房へ通っていた。 そこで桐生の手しごと市に参加してみないかと誘われ…。 桐生でわかった詩織の出生の秘密。 一子相伝の織物をめぐり昭和と現代、ふたつの運命が、紡ぎ、結ばれる。 こういう繋がりがあったのか、とそれは当然の如くそうなるべくしてなったと感じた。 何もないところから人の手で織ることによって、素晴らしい作品を生み出す。 その手仕事にも糸に込められた想いがあることを知った。 そして、生きづらさを抱える人にとっては勇気を与えるものだった。 ありのままの自分を織ってほしい。 芳乃の気持ちを感じたのかもしれないが、詩織の人生の詩を織りあげてほしいと。 芳子に連れられて行った山で、絹子もそう思ったのではないかと改めてプロローグを振り返ってみた。
織物に取り憑かれた人々が人生を達観した仙人のようにも時を忘れて無邪気に遊ぶ子どものようにも見えてその極端さが危うくも目が離せないほどの強烈な魅力を放っている。 残念ながら私には創作の才は無く共感できる部分はあまり無かったけれど才があるからこその喜びや苦悩がありのままに描かれていて息をするのも忘れてし...続きを読むまいそうなほどのめり込んで読んだ。 人生は思い通りにいかないからこそ思いがけず出会った奇跡のような瞬間が尊く一つ一つ積み重ねて出来た層が振り返ってみると織物のように美しいものになっている。 綿々と続いてきた桐生の織物の歴史や美しい自然、芳乃と詩織の目を通して見た景色がそういうことを教えてくれた。
戦争がどんなに酷いものか書かれており、途中では泣きたくなるようなシーンもあった。 この本のキャッチコピーは「誰もが、織り人なのだ。」というのもあり、芳乃の作品と同レベルの作品を織ることがこの本の結末ではないと思いつつ、詩織がどんな成長をしたのかもう少し書かれて終わってくれればいいのに…。と感じた...続きを読む。 織物を織っているときの心情や風景が細かく書かれており、情景がかなり想像しやすかった。 この本を読んだことにより、織物を織ってみたくなった。
桐生という地名を知らなかったのですが、こんなにも織物が有名な街だったのですね。 ここまで我を忘れて熱中できるものがあるのは羨ましいものの、最早呪いと言っても過言ではないような… もし私が絹子と同じ立場だったら、確かに娘から手芸を遠ざけようと必死になるだろうなぁと思ってしまいました笑 母の苦労、子知ら...続きを読むずという感じですかね…
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世はすべて美しい織物
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成田名璃子
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