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天明四年五月の十三夜。将軍家外出時の警護や市中見廻りの御役目を負う先手弓組番方・幣原喬十郎は、湯島の路上で男女の惨殺体を発見する。傍らには匕首を手に涙を流す若い男。喬十郎は咄嗟に問い質すが、隙をつかれて取り逃がす。やがて、逃げた男は大盗「大呪の代之助」一味の千吉だと判明。喬十郎は追及するが、千吉は再び姿を消す。雪辱を果たすべく矜持を持って悪事に立ち向かう喬十郎と、闇社会をうまく立ち回る千吉。二十年以上にわたる因縁の対立関係を描く、熱き時代小説。
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Posted by ブクログ
機龍警察の著者による時代もの。十三夜によるに偶然出会った盗っ人と若い侍。その後数十年にわたる因縁の始まりであり、期せずして大老の謀に巻き込まれていく。十数年単位で場面が移り、その度に成長していくし、家族や立場も変わるが、その変化とストーリーが巧みに織り合わさっていて、大河ドラマを一気に見ている感じ。...続きを読む二人の感情がとてもよく伝わってきて、最後の1ページは泣ける。
十三夜に因縁の出逢いに遭遇した幣原喬十郎と千吉。唯一無二の友になるまでの二人の波瀾万丈の生涯を描いた時代小説。私利私欲の為、弱き立場の人間を利用する御上。今の政治を見ているようだ。
江戸時代末期、ある十三夜、先手弓組番方幣原喬十郎は殺人の現場で匕首を手に涙を流す若い男千吉と運命的に出会う。仇敵となった二人、節目ごとに相まみえるが…。御上の都合、腐敗した施策、幕閣内の確執で踊らされた彼らが哀しい。現在の政治とかぶるように見えるのが怖い。
主人公の30年いや40年になるか、生涯の物語だ。対立する2人のそれぞれの家庭の親娘の心温まる会話等々に感動した。そして最終章では涙が滲み出、自分にも生涯の友がいることの幸せを思った感動の一冊だった。
月村氏は時代小説も半端ない。山本周五郎や藤沢周平、池波正太郎、最近でいうと葉室麟や砂原浩太朗等々の名手と比べるのは可哀想だが、それでも素晴らしい力作で心が熱くなり響く作品。ストーリテリングの上手さは時代小説でも遺憾なく発揮されている。
敵対する因縁が、様々な因果を経て、心通じる者達となる過程が素晴らしく、ただただ、素直に感動しました。
十代で出会った追い追われる二人の生涯に渡る因縁話。 島流しの刑の内実や拷問の描写に改めて過酷で苛烈だった当時を想い胸が軋んだ。 そして武士と商人の立場の違い。 そんな二人が晩年共に有る不思議と別れに苦しくもなりました。 作中、長谷川平蔵や遠山金四郎が重要人物として登場するのも、盛り上がりになって...続きを読むいてサクサク読み進められます。 ただ、会話の言い回しや立場、状況の描写は、時代小説を読みなれていない人には取っ付きにくそうかなぁ、と思ったりも。
ほとんどといってもいいほど時代小説は読まないのだが、月村了衛さんの小説は何冊か読んでいるので今作も手に取った。 十三夜に出会った幕府の喬十郎と闇社会で生きる千吉。 この立場のまったく異なる2人の再会。 運命ともいうべきか。 初めて出会った日から、互いに憎み合い、戦い合ってきたこの2人が、最後には百...続きを読む年の知己よりも親しい仲になる。 そうなるには、どちらも娘のおかげもあったのかもしれない。 最初に見た涙を最後にまた見ることになった。 その涙に温もりを感じた。
おもしろい。私的には、池波正太郎か藤沢周平かと言うぐらい一気に読めた。鬼平や東山の金さんが出るのも楽しい。
番方・幣原喬十郎が男女の惨殺体を発見する。そばには血にまみれた匕首を手にし滂沱する男。すぐさま追うが、自分がやったのではない、と言い残し逃げて行ってしまう。 二人の男が対立する人生を送りつつも、だんだんと真相を追っていく様が非常に興味深く目を離せないまま一気に読み進めてしまいました。 ただなんか、...続きを読むこう・・・結局は幕政というかそういう大きなものが相手だってもいるので巨悪と対峙というよりはただただ翻弄されていく感じが「すっきりと解決!」な気分にはならないですね。面白かったですけどね。
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