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エクソフォニーとは,ドイツ語で母語の外に出た状態一般を指す.自分を包んでいる母語の響きからちょっと外に出てみると,どんな文学世界が展けるのか.ドイツ語と日本語で創作活動を行う著者にとって,言語の越境は文学の本質的主題.その岩盤を穿つ,鋭敏で情趣に富むエッセーはことばの世界の深遠さを照らしだす.(解説=リービ英雄)
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Posted by ブクログ
フランス語がわからない著者がその環境に10日間ほどいたときの、夢の話が興味深かった。"ちょっと空気が震えただけで、泣いたり、喚き散らしたり、人を殺したくなる"という一文の凄み。ぐっとくるを通り越してなんかもう、ウッとなった(もちろんいい意味です)ここからもいい意味で、わりと怒りを...続きを読む感じるところに人間味を感じた。 そのほかにもいいなあとじわじわ感じるところが多々あり、ほかの方も感想に書いてらしたけれど、多和田さんの言葉に対するこだわりや真摯さを感じられる。言葉えらびがすてきで、くり返し読みたくなる文体でした。読んでよかったです。
日本語とドイツ語で創作する作家の母語をはなれることと、そこから何かを生み出すことに関するエッセイ集。 エクソフォニーとは、母語を離れた状態を表す言葉のようだが、フォニーというところに、音楽的なニュアンスがあって、シンフォニーとか、ポリフォニーといった調和感ではないのだけど、一種の緊張感と解放性のあ...続きを読むる言葉なのかな〜。 私たちの概念やストーリーがまさに言葉でできていることを日常的なレベル、そして文学作品を作る現場から、すらっと教えてくれる。 そして、言語の音とか、綴りなどがもつ、呪術性というか、身体性も改めて、伝えてくる。自分の知らない意味の分からない外国語から、何らかの作品を作ってみるワークショップの様子とか、ほんと面白い。 水村美苗さんの「日本語が滅びるとき」を思い出させてくれて、自分は、こういう話しが好きなんだなとつくづく思った感じ。 あと、なんかそれだけでないなんか共感できるフィーリングもあるのだけど、もしかするとほぼ同年代だからかな〜。著者は、82年にドイツに移住しているので、そこまで同じ時代の感性を共有しているというわけでもないのだろうけど、なんともいえない同時代感を持った。
世界各地の地名をタイトルに、その土地にちなんだエッセイをまとめた第一部と、ドイツ語という言語にフォーカスしたエッセイをまとめた第二部からなりますが、個人的には多和田さんご自身の着眼点の面白さがより詰まった第二部が面白かったです。 冒頭からずっと読んでいて、色々な単語に対する好き嫌いの記述が本書中に...続きを読む何度も出てくるので「やっぱり言葉に対する感性が鋭いんだな」ぐらいに思っていましたが、第二部の以下の部分を読んではっとさせられました。 ちょっと長いですが、多和田さんの文章に対する哲学が垣間見えるとても印象的な一節なので引用させていただきます。 『(前略)ところで、わたしは単語の好き嫌いばかり言っているようだが、好き嫌いをするのは言葉を習う上で大切なことだと思う。嫌いな言葉は使わない方がいい。学校給食ではないのだから、「好き嫌いしないで全部食べましょう」をモットーにしていては言語感覚が鈍ってしまう。一つの単語が嫌いな場合は、自分でもすぐには説明できなくても必ず何らかの理由があり、その理由は、個人の記憶や美学と結びついている。だから、思い切りわがままな好き嫌いをしながら、なぜ嫌いなのかを人に言葉で伝える努力をしたい。』
140ページに、「速く読み過ぎてはいけない」とあります。 ケータイでスクロールしながらヤフーニュースを流し読みしているうちに、本を読むときも加速しすぎて、意味を捉えることができないことが多くなりました。目が先に行っちゃう、って感じ。 は? 「書くという作業は、作者とは別のからだである言語という...続きを読む他者との付き合いなのだ」 「いろいろな人がいるからいろいろな声があるのではなく、一人一人の中にいろいろな声があるのである」 204ページに、何とhard-fiのイメージがあって驚く。私のポケットにも穴が開いてるから。 最後の「感じる意味」は何度でも戻っていきたい。感じたことを無視しちゃいけない。感じてもいないことに時間を費やすな。
日独バイリンガルでドイツに渡り、母語を日本語としながら日本語とドイツ語の両方で小説を書く作家の「言葉を越境する」ことから広がる視界、言葉をめぐる冒険のエッセイ。 自身が当たり前のように接していた言葉、日本語、外来語について紐解かれていくのが非常に興味深かかった。 自身の知識では抑えきれていない部分も...続きを読むあるのだろうと思わされつつ、読めば読むほど奥深い発見が溢れていた。
日本語‐ドイツ語のはざまで、ドイツ語から日本語を、日本語からドイツ語を照射しそれぞれを解放していく。 言語の、生きられたコードとしての不自由さのいっぽうで、コードそのものに宿る固有の何か、をあぶりだしていく。 幼児の言語習得の過程では、分節をふやしていくのではなく 分節を忘れる―区別をしなくなる...続きを読む/ある種のコードに沿った分節に屈する、ということが印象的。 コードへの執着を持ちながら、そのコードを自らの手で増やし相対化されているー言葉の快楽におぼれるでなく、実感に基づいた冷静な思考。 刺激的な言語論であり文章論。
多和田葉子さんは 1993年に芥川賞を受賞した著名な作家なのだが 私は恥ずかしいことに 多和田さんの存在を 「2018年の全米図書賞翻訳部門を受賞」 のニュースをネットで見て初めて知ったのだった。 多和田さんは早稲田大学でロシア語を学び ロシア(当時ソ連)ではなく ドイツ(当時西ドイツ)に留学。 ...続きを読む以来30年以上ずっとドイツに住み 日本語とドイツ語で作品を創り続けている。 Exophonyとは 「母語以外の言語で文学を書く」という意味。 サブタイトルのように 多和田さんは朗読会や講演などを行うために 世界各地を旅しているわけだが その度に母語と非母語について 考え 感じ 新たな捉え方に挑戦し続けている。 一文学者の紀行文として楽しみながら 目からウロコのような「多和田式」捉え方に 刺激を受けることができる一冊だ。 多和田さんを ノーベル文学賞に最も近い日本文学者と 言う人もいるが 彼女の活動を辿れば納得がいく。
ヨーロッパと日本の言語を巡る状況を概観するとともに、いろんな物事が統一とか硬直に向かっていくことを危惧し、それとは全く逆の瑞々しい価値観を提示している。外国語を学び、外国語と母国語の間で考えることで、一つの文化を相対的に見ることができる。ここからはかなり教訓的な考えを取り出せるだろう。だが本書の特徴...続きを読むはいたるところに言葉遊びが散りばめられていることだ。この本はただ有意義なだけでなく、たたずまいそのもので芸術を表している。
「90年代を代表する文学はどんな文学かと聞かれたら、わたしは、作者が母国語以外の言語で書いた作品、と答えるのではないかと思う」 と言い切る多和田葉子氏の著作で、解説は英語を母語としながら日本語で捜索活動を続けるリービ英雄氏。 『エクソフォニー』という表題は耳慣れないが、副題は「母語の外へ出る旅」。...続きを読む そうなれば本書のテーマは明らかだろう。 要するに「母語を相対的にとらえる」ということになるのではないか。 我々は当たり前のことだけれど母語に依拠して生きている。 それはつまり、母語の世界観を前提にした考え方やものの見方しかしていないということだ。 筆者の多和田氏はそうした我々の「思い込み」を突き崩そうとしているように思われる。 だからこそ、多和田氏の投げかける問題は、我々の生きた方の問題として切実に迫ってくるのではないかと思う。 非常に刺激的な本で、とてもおもしろかった。
「エクソフォニー(exophony)」 聞き慣れない言葉だが、「母語の外に出た状態一般」、そして「母語以外の言語で文学を書く現象」を意味するらしい。 日本語とドイツ語で創作活動を続けてきた著者の多和田葉子さん。 様々な言語文化と接する中で見えてきたもの、感じたことを鋭い洞察力で文字に起こしている...続きを読む。異なる言語の視点を持つことで、日本語を客観的に見る機会が得られることに気付かされる。 ドイツ語の言葉遊びも面白い。
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