キリンを作った男――マーケティングの天才・前田仁の生涯

キリンを作った男――マーケティングの天才・前田仁の生涯

1,980円 (税込)

9pt

【内容紹介】

「一番搾り」「淡麗」「氷結」を生んだ伝説のヒットメーカー初の評伝!!


戦後のキリン最大のヒット商品である「一番搾り」をはじめ、「ハートランド」、発泡酒の「淡麗」「淡麗グリーンラベル」、第3のビール「のどごし」、そして缶チューハイ「氷結」……。

これらはみな、一人の人物が作った商品である。

その人の名は、前田仁。

手柄を部下に与える上、マスコミ嫌いだったこともあり、世間的には「知る人ぞ知る」存在だったが、飲料業界では名の知れた不世出の天才マーケターである。


戦後長らくビール業界のトップ企業だったキリンの、絶対的な主力商品は「ラガー」だった。

だが前田は、商品を開発するにあたって「打倒ラガー」を掲げる。

なぜ前田は、自社の主力商品を潰そうとしたのか――。

そして、いかにして凋落する名門企業を復活させたのか――。


いつもニヤニヤ笑顔で飄々としていたが、部下からの信頼は厚く、上司に対しても決して忖度はせず、常識や前例にとらわれない発想で次々とヒット商品を生み出した前田仁のマーケター人生に、ビール業界を30年以上取材し続けてきた著者が迫る。


「キリンの天皇」と呼ばれた本山英世や、サントリーの佐治信忠会長、前田を師と仰ぐ現在の湖池屋社長・佐藤章(元キリンビール)、前田の部下だった漫画家のしりあがり寿はじめ、ビール業界の傑物たちとの秘話も明かされる。


ビールが最も熱かった時代に、変化を拒む巨大企業の中で、権謀術数や子会社への左遷などの逆境を乗り越え、信念を貫き続けたヒットメーカー初の評伝!

【著者紹介】

[著]永井 隆(ながい・たかし)

ジャーナリスト。1958年生まれ。群馬県桐生市出身。明治大学卒業。日刊紙「東京タイムズ」記者を経て、92年に独立。ビールや自動車などの企業活動をはじめ、組織と人との関係、人事制度、外国人労働者などをテーマに、新聞・雑誌・WEBメディアにおいて幅広く執筆活動を行っている。中でもビール産業については、東京タイムズ記者時代を含め、30年以上取材を続けている。主な著書に、『サントリー対キリン』『アサヒビール30年目の逆襲』『ビール15年戦争』『ビール最終戦争』『EVウォーズ』(以上、日本経済新聞出版社)、究極にうまいクラフトビールをつくるキリンビール「異端児」たちの挑戦』(新潮社)『、移民解禁』(毎日新聞出版)、『ドキュメント 敗れざるサラリーマンたち』(講談社)など多数。

【目次抜粋】

第1章 打倒「ラガー」極秘作戦

・ラベルのないビール

・「ラガー」という聖域

・殿様商売

・「ハートランド」の裏コンセプト


第2章 大いなる助走

・屈折を抱えた少年

・花の73年入社組

・桑原学校


第3章 「スーパードライ」の衝撃

・「どぶ板」の営業部隊

・黙殺されたレポート

・住友銀行から来た男

・「ドライ戦争」勃発

・「魑魅魍魎」巣くう伏魔殿


第4章 「一番搾り」が生まれた日

・ロングセラーの条件

・麦汁の一滴は血の一滴

・「天皇」への直訴

・「ラ党の人々」事件

・突然の左遷


第5章 首位陥落

・アサヒの罠

・ラガーvs一番搾り

・生ビール化の失敗

・暗黒時代


第6章 天才の帰還

・本社の最年少部長へ

・「発泡酒はまがいもの」

・「淡麗」の新しい価値


第7章 ホームランバッターの嗅覚

・ヒットの予感

・安売り合戦

・「淡麗グリーンラベル」ヒットの理由


第8章 「異質」が生んだ「氷結」

・子会社の男

・打倒サントリー

・缶チューハイの革命児

・運命のネーミング変更

・前田が撒いた「種」

・マーケティングで一番重要なこと

・あえてダサく作れ


終章 昔話では食えない

・ゲームチェンジャーとしての「極生」

・困った時の前田頼み

・幻のサントリー統合計画

・キリンとの別れ

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キリンを作った男――マーケティングの天才・前田仁の生涯 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ 2022年11月09日

    これは素晴らしかった。益々KIRINのファンになった。こんな天才がいたなんて。そして、天才が作った人材たち。成功体験があっても過去の栄光に奢らず、謙虚に次のヒット商品を探していく。こんなプロがいたことは、日本人としても誇らしい。

    0
    購入済み

    定期的に読み返し一冊

    2022年08月21日

    私は大企業に努めた経験はありませんが、読み進める程共感と自分自身の我慢の無さを気付かされました。
    どの環境においても全力を尽くす、アイデアをストックし続けるという姿勢は共感しかありません。

    0

    Posted by ブクログ 2022年08月06日

    マーケターとしての人生、人となり、重視していたことは非常に大きな参考になった。
    左遷されても、腐らずヒットを生み出す姿勢、
    半歩先を読むセンス。

    0

    Posted by ブクログ 2022年07月02日

    レギュラースーパードライが売れ出した頃にビールを飲み出した。CMが男向けで男性消費者が多いと思いきや、飲みやすいから女性に支持されたというのは知らなかった。そういえば、酒が苦手な母も一番搾りだけは飲めたことを思い出した。

    通達と調整が営業という会社を変えた伝説的なマーケッターの前田氏の話は知らなか...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年11月29日

    これもタイトルが気になって、手に取った本。

    ビール業界のガリバーだったキリン。しかしそんなキリンの現状に、不安を覚えた社員がいた。それが前田仁である。

    ハートランドという、キリンとは似ても似つかないプライベートブランドを立ち上げ成功を収めていく。

    そんな中、慢心のキリンはアサヒが放ったスーパー...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年08月28日

    何となくの直感でこの本は良さそうという
    感触がありましたが、まさにその通り。
    この本は、間違いなく"買い"の一冊です。

    キリンにいた伝説のマーケターの半生を
    当時のビール業界の競争を交えながら語った
    ノンフィクションなのですが、
    お酒を飲まない自分にもとても面白かったです。
    ...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年06月23日

    前田さんの仕事に取り組む姿勢やお客様の意識と実際の味の好みのズレをお客様理解として認識してヒット商品を生み出す等、とても参考になりました。
    また、キリンビール社内の人事争いやアサヒビールとの争いなど、興味深く読まさせていただきました。

    0

    Posted by ブクログ 2023年05月27日

    のどごしが発売になる時、
    キリンの新川の本社で開かれたイベントに参加したことを、思い出しました。

    自分の仕事に対する姿勢を問われているような感覚で読み進めました。
    いい本。良い人前田さん。

    0

    Posted by ブクログ 2023年04月06日

    戦後のキリンのヒット商品「ハートランド」「一番搾り」「淡麗」「淡麗グリーンラベル」「氷結」。その全てに関わった男、マーケティングの天才前田仁の生涯を描く。

    アサヒスーパードライの大ヒットの前はビールのシェアはキリンの一人勝ち。ただし大企業ならではの組織の動脈硬化から日本一のTheを奪われる。キリン...続きを読む

    0

    Posted by ブクログ 2023年04月02日

    真に本質的なもの、お客様に喜ばれること、に忠実であることとは何か、を学べる生き様。自社の都合や競争関係から来る要素ではなく、お客様が今そして半歩先の未来に何を求めているか、それを直営店などで接点を常に持って感性として磨き続けることが大切。教養的なものも必要になってくるあたりが印象的。
    あと、稀代のマ...続きを読む

    0

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