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細胞の塊にすぎない脳に、なぜ知能が生じるのか? カギは大脳新皮質の構成単位「皮質コラム」にあった。ひとつの物体や概念に対して何千ものコラムがモデルを持ち、次の入力を予測している――脳と人工知能の理解に革命を起こす「1000の脳」理論、初の解説書
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Posted by ブクログ
脳の仕組みを解明しようとする研究者の著作。この本が面白いのは、作者がアカデミック出身ではなく、パームコンピューターで大成功した起業家であること。ビジネスで大成功を収めてから、元々関心あった脳の研究所を設立し、打ち込んでいるという変わり者。だからかもしれないが、内容はとてもわかりやすい。人工知能がもた...続きを読むらす変化なども、シンギュラリティを恐れる必要はないし、映画のような機械の反乱などが起こらないことをわかりやすく説明してくれる。脳を機械に接続して保存したものは、人間なのかという問いや、地球外生命体とのコンタクトまで、脳を題材にいろいろなテーマを取り上げていて、興味が尽きない。
前作(「考える脳考えるコンピュータ」)を読んでいないと深く理解するのは難しいと思われる。 前作が日本で発売されたのは2005年。当時、ものすごく興奮して読んだ覚えがある。そして、前作の帯には「10年以内に実現する真の知能を持つ機械」と書かれていた。 それから17年。 今作を読んでわかったのは、脳...続きを読むのメカニズムを理解することは想像していた以上に難しそうだということだ。 前作では、脳のメカニズムを理解するには柱状構造(本作での皮質コラム)と新皮質の六層構造を理解することが必須だと指摘されていた。 本作でもその課題意識は引き継がれているが、結局は「コラムはこのような機能を持っている筈だ」という推察にとどまり、どのようにそれが実現されているのかは全く書かれていない。というより、理解するのにかなりの時間を要するという見通しのようだ。 今流行りのGPT-4の能力は凄いが、筆者が指摘する通り、深層学習ベースのAIでやれることには限界がある。 そして、その先に行くためには脳の理解が必須となるが、その道のりは想像していたよりずっと長そうだ。GPT-4がこの道のりを短縮してくれるんだろうか。 脳のメカニズムが解明されることを誰よりも願っているジェフ・ホーキンス氏が生きているうちに、この謎が解けると良いなと思う。
脳が情報をどのように認識しているのか、理解できた。そして、それを理解した上でのこれからの時代がどう変わっていくのか、そしてその変化に対してどのような考え方を持つのか私達ははっきりさせるべきだと思った。
完全文系の私には理解できない部分も多かったが、情報量も多く文才もあってか読みやすく良い本でした。 最後の将来予想はまあ頭の良い人の時間軸やスケール感は凡人には理解できない部分もあるので、そんなこと考えてるんだなあという以上の感想を持てませんでした。
新しい脳と古い脳の構造の話が興味深かった。 本書で肝となるのは座標系の話。1000の脳理論。脳は予測する。記憶には動作が伴う。 誤った信念、維持するために直接の経験だけを信頼する必要がある。 脳の教科書を片手に読むと理解が深まりやすかった。
元実業家で脳科学の研究者である筆者が人間が物事に対処するときに脳では何が起こっているのかを 知的処理を司る新皮質領域を中心に平易な言葉で解説する. ブラックボックスだった人間の脳の構造を説明する理論的な枠組みがわかりやすく説明され,その理解が深まるとともに知的好奇心が大変刺激された. 個人的な話...続きを読むに落としてしまうと 日々仕事やその他領域で感じる自分の知識不足やスキル不足は先天的な問題ではなくこれまでの経験・学習が故に,脳でモデルが作られていないだけに過ぎないんだと腹落ちすることができた.ウダウダ言わず,やっていきましょう. ーーーーーーー 1000の脳理論 「考えることは一種の動きでもある」 爬虫類脳、古い脳→砂糖、ケーキが食べたい 哺乳類脳、新しい脳、新皮質→ダメ。本に書いてある。医者が忠告している。 古い脳がセックスの進化論的目的を「認識」していたらコンドームを使用する行為は耐えられない痛みを伴うだろう。 利己的な遺伝子(古い脳)に抗うことができるのは人間の大脳新皮質の誇り 新皮質は哺乳類のみにある。音楽、数学、工学...知能的な行動には新皮質の関与が不可欠。人間は特に新皮質が大きい。 新皮質は筋肉とは直接繋がっていない。→行動をとるときは古い脳に指示を委託。 筆者のキャリアの凄さ。 望む研究者キャリアがない→当座のしのぎとしてITで成功→金に縛られない研究者として本格的に参画。 年単位の行動、圧倒的行動量(論文読み漁り、起業)、揺るがないベクトル。 脳は常に各種の入力から世界はこうなっていると予測している。だから私たちはあらゆる物事に対応できるし意外なことが起きたらそれに気づける。そしてその結果がモデルの更新につながる。 学習とはニューロン間に新しい接続をもたらすこと。 予想外の入力は多くのにニューロンを「自分の出番か?」と活動的にさせる。 新皮質は世界を予測するための座標を持っている。 コーヒーカップとそれを持っている手、指の相対位置 座標系=知識を整理する方法=非直接経験、言語や宗教も取り扱い 素数や政治といった物理的ではなく感知できない概念はどう理解しているのか? →概念的な座標系を作る →例え話のうまさは一見関係がなさそうなものにニューロンの発火パターンの類似を見出せること? 場所法 →何かを記憶したいとき、記憶したいものを家のあちこちに配置。 →頭の中で家のあちこちを歩く姿を想像すると記憶対象も思い出せる →行動と記憶をリンク。いわゆる"体で覚える" 今のAIブームからは汎用人工知能はできない。 知識をコンピュータ上でどう表現するかという問題を避けて、統計やデータの多さに頼っているから。 ニューラルネットワーク、 写真に猫がいるかの分類はできても「猫に分類されてた画像に似てるから」以外持つべき情報がない 生命の謎が科学や生物学によって徐々に解明(絶対的なもの、不可知的なものから相対的なもの、分析可能なものへ)になったと同じく、意識についてもそのようなパラダイムシフトが将来起こる。 新皮質は世界のモデルを学習する。しかしそこには目標も価値観もない。危険を避ける、子孫を残すといった目標をもつ古い脳と繋がっているから新皮質にもそれがあるように見えるだけ。 →人間の知能システムを模倣する知能機械は全く人間と同じする必要はなく持たせる価値観や目標、機能はカスタマイズ可能 今のAIが解決するものは静的問題 ・経時変化しないもの ・継続的学習を必要としない 機械知能ができた場合,それが人類の脅威となるかについては筆者はNoの立場 ・機械にそのような用途を組み込むことと機械自身がそのような結果を自律的にもたらすことは別. ・機械知能が人間の知能を上回り機械知能自身がフィードバックループを回す知能爆発は起こり得ない.なぜなら実世界のインプットや 継続的学習という点で物理的な障害にぶつかるから. ・機械知能の株が爆発的に増えることも物理的な制約や機械自身にそのような目的志向を持たせないとそもそも始まらないという点で脅威となり得ない. 「地球は平ら」といったトンデモ陰謀論を信じている人: 脳のモデルがそのように構築されてしまっている.モデルを否定する主張は全て「信用できない」「捏造だ」と棄却. (モデルを更新しない) ウイルス性の誤った信念 ・直接経験できない ・反証を無視する ・何かしらの大義名分のもと、ウイルスのように拡散させる 例:良かれと思って、権威者(空想)への反発 五感からの外部入力、思考による内部入力(活動電位)→活動電位発生、ニューロン発火。 ニューロン発火のパターンが特定事物と思考対象の紐付け=本書における"座標系"? 座標系は物体の位置や方向、地図といった表現通りの領域で役割を果たすのはもちろんだが"思考を整理する方法"として民主主義や数学、哲学といった抽象的な概念すらもカバー 抽象的概念を取扱い高度な現実の問題を解決できる人間=座標系の広さ、深さ=脳の大きさ、構造?
人間の脳の約7割は新皮質で形成されている。新皮質は一見単純なコラムの大量コピーで形成されているが、それによって柔軟な働きをする。脳は世界をこのようなシナプスネットワークの発火のパターンでモデルを構築し、常に予測をすることによって効率的に高次の処理を行える。また、座標系を用いた知識の形成を行うことによ...続きを読むって身体と、常に変化し続ける外環境を認識し、制御することができる。現在の機械知能にはこのような新皮質の構造の一部しか実現できておらず、また古い脳が作り出す生物学的な動機がないという点が最も異なる点だと述べている。
# 人間の脳の不思議な能力に感服した一冊 ## 面白かったところ - 原始時代を生き抜いた古い脳から生存競争に脅かされない今日を生きる新しい脳に成長した過程や、違いについて詳しく書かれていた点 - 「脳は座標系を用いて独自に世界のモデルを構築している」という主張からなる論理の展開が面白い #...続きを読む# 微妙だったところ - 3部で地球や人類の生存戦略のようなスケールのでかい話が書かれていたが、当書とあまり関係がなさそうな話で面白くなかった ## 感想 脳には「古い脳」と「新しい脳」があると聞いたときに『ファスト&スロー』をすぐさま思い出したけど、似てる部分もあるし非なる部分もあるし比較しながら読み進めて面白かった。 脳内で独自の世界のモデルを構築しているから、目を閉じていても文字を打つキーボードがどんな形でどんな感じで打鍵するかがわかる。 すげえ当たり前のことなんだけど、改めて並べられた言葉をなぞるとわかる人間の脳の凄さに感服した。 ChatGPTというAIも台頭してきたことだし、技術的特異点がある日いきなり到達したときの考え方の見聞が広がったことはとても良かった。
脳とは何か? それはもちろんこのように文字を打ったり、言葉を操るなど知能と呼ばれる高等機能をつかさどる器官である。 が、それが物理的にどのように知能を生み出しているか? と聞かれると、わからなくなる。 仕組み自体単純で、スイッチの入り切りの連続でしかないコンピュータについて同様に聞かれても頭を傾...続きを読むげるのに、生命である我らホモサピエンスについて聞かれると尚更である。 この本で扱うのは、そのような「人の思考や知能はどのように作り出されているか?」を問う内容。 本書の議案の審議は今後、歴史的発見の中で明らかになるとは思うが、そのメカニズムは革新的で面白い。 基本的な要素はコラムと呼ばれるニューロンとシナプスの繊維のようにした集合体である。これが人の新皮質には15万個ある。 これらの基本機能は座標を作る事。 つまり自分の位置と、周囲対象物との位置をモデル化する「どこ?」細胞と周囲の対象を形状や化学特性から解析する「なに?」細胞からできている。 この基本要素自体は古い脳の周囲の地図を作成する能力を基本としてコピーされたものである。 このように位置と、物のデータベースが脳内に蓄積されていくわけだが、この機能は科学、数学、政治、哲学といった位置座標とは関係なさそうな抽象概念を生み出す基礎となっている。 著者の論では、3次元、2次元の地図上を歩いて区別するように、脳内に地図を作り、その中にある場合分けの地図を作って、そこを歩くように思考をする。 (数学などは分かりやすい。方程式を解くときにまさしく地図を持って歩くように解いている) このように場合分けと、その型というか法則のようなものを関連付けることで、地図を持って歩くように人は思考するようになったという論理。 完全には理解できなかったが、面白かった。 ただ、最後の2章、人類の滅亡可能性と宇宙関係は蛇足だったかなと思う。
神経科学の観点から脳がどうやって人間の知能を生み出しているか知ることができる。 人工知能を勉強する人にもおすすめ。 【概要】 ●脳の古い部位と新皮質 ●脳による世界のモデルの学習 ●脳と機械知能の違い ●人類存亡のリスク 【感想】 ●人工知能を勉強しながら、人間の脳も少しずつ勉強していたが、この...続きを読む本で人間の脳と人工知能の違いについて理解度が深まった気がする。 ●特に、座標系の理論、世界のモデルの学習方法、脳と人工知能の違いについては、人工知能の限界を考えるための勉強になった。
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