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高校を休学した17歳のぼくは、ひと夏を過ごすために海沿いの〈Rの家〉を訪れる。そこは、祖母と両親が田舎暮らしをするために建築されたものの、結局誰も住むことのなかった建物。だがそこにはほぼ全裸の若い女性、そして酒の匂いを漂わせた男性が――。いとこと伯父、そしてぼく。三人で奇妙な同居生活を始めたぼくは、徐々に母の自殺の真相へと近付いて行く……。打海文三が描く、センチメンタルミステリ。
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Posted by ブクログ
塔が燐光を発しているように眼に映る アイボリー(象牙色) 大谷石の塀があった 浅黒い肌には艶があり 肥大した自己愛と鬱積した憎悪について 一種のマッチポンプ(自作自演行為)ね。詐欺同然よ。 我々は生身の人間に投影した自分の性幻想に欲情するんだ 「論理構成はわかります。タブーを侵犯すると自我が動揺する...続きを読むんです。自我の消滅。絶対的帰依。宗教のオーガズムと似てる」 制服で拘禁して すじょう素性の不明な 俺が窃視したというスタイルで 吃って あおは青灰色の海に着水した ぜんてい前庭 赤蜻蛉の群舞ぐんぶ 施主せしゅ しょうか商家あきんど 「僕達の欲望も挫折も、本に書いてある通りの道を辿る。残念ながらね」「本当にそうなら、生きてるのが、馬鹿馬鹿しくならない?」「だからこの世界を切断する」僕は言った。「意味の切断、時間の切断」李花が言った。 あのリベラル(自由主義)な男でも優生思想が一瞬頭を過ぎる 「濃淡の差はあるが、全ての人間関係は呪縛である、と言えなくもない」 そうがい窓外に視線をめぐらして言う 偉大な変態は現実の愚行を表現によって回避するんだ くつ沓脱ぎ 「アメリカの癒しが唯一の目的だからだ。傷つけられたベトナムは、製作所の関心の外にある」 「男と女は来賓各位を前に永遠の愛を誓う。新郎は自己のペニスを新婦のヴァギナに、新婦は自己のヴァギナを新郎のペニスに、永遠に、限定的に使用するものでありますと、男と女は厳かに宣言する」 むざむざ罠に嵌り、媚態を示して俺を籠絡することに熱中した過去を、順子は酷く悔やみはじめた 「禁欲的なやつって、自分をよくコントロールして最後まで徹底的に戦うだろ?そういうやつは『マイウェイ』を歌わない。人生に悔いなし、なんて甘っちょろいことは言わない」 「誰かのアフォリズム(箴言)にある。更年期は女性が美しく陰っていく人生の秋だ」 そして見かけ上はジェンダーバイアス満載のハードボイルドとする 滅茶苦茶周到且つ八方破れな代物なのだ つまるところ母によって家父長制を破壊された少年が、器のみを残した家を経て、漂流者=ロビンソンとしてあてどなく彷徨う、その流浪の物語なのである。
すっと読めてすごく面白いんだけど、 9割シモの話してたから苦手な人はよく考えてから買った方がいいかも
めんどくさい人たちによる、同じところをグルグル回っているようなディスカッション・ドラマ。この手はいつの時代も一定量が供給されているし、安い邦画なんかは特にそうだから、必要としている人たちは常にいるんだろう。登場人物は誰もクールに振る舞うのだけれど、すごい熱意で懸命にクールぶってる印象で、平熱の登場人...続きを読む物が多い、今時のドラマに慣れていると、暑苦しくて仕方がない。このくらいの古さが、いちばん古びて感じられるものなのかも知れない。
なかなか猥談も多かったので、あまりうまく書く術を持ち合わせていないけれど、出てくる女性たちが徹頭徹尾の姿勢を貫いていてそれがどんな形であれ、強いなと思うし、重かった。色んなテーマが織り込まれていて、とても好きな小説だった。冗長ではない短めの章に、モチーフにどんな意味があるのか考えるのはとても楽しい。...続きを読む解説にもあったけど、小説っぽいと思う。ラストシーンも含めて闘っているようで、もっと打海さんの作品、読んでみたくなった。
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Memories of the never happened1 ロビンソンの家
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打海文三
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