学生時代の国語の授業で見せられた能があまりにも退屈だったので、50歳を超えてしまった今までずっと敬遠していたのですが、NHKの「100分 de 名著」で「風姿花伝」を取り上げたのを見ると、世阿弥は実にいいことを言っているんだと感心し、とりあえず「100分 de 名著」での解説の土屋氏の本を読んでみることにしました。
当然ながらNHKの番組内容と結構かぶっていますが、なかなかおもしろかったです。ここでの「処世術」というのは、一般的なニュアンスの「その場しのぎ」ではなく、むしろ人間としてかっこいい「生き方」「老い方」といった感じ。著者は「処世術」の方が「人生論」より的確と考えてこのタイトルにしたそうですが、たしかに「人生論」では説教くさすぎて問題があるものの、「小生術」も現在の用法ではちょっと軽すぎる言葉であまりよくなかったような気がします。
まあ「かっこよく老いる生き方」に当たる適当な言葉は確かにないのでいたしかたないのでしょうが。
これは、今の僕にはまさにフィットする本でした。能も、一度見てみたくなりました。