犯罪の世間学 なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか

犯罪の世間学 なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか

1,760円 (税込)

8pt

4.0

ときに海外メディアから称賛される治安のよさ、略奪や暴動を起こさず、起きたとしてもそれに厳しい目を向ける日本人――その感性を作り出す独特の秩序であり、法のルール以前に私たちを縛る「世間」。
歴史学者・阿部謹也が提唱した世間論の骨子を、「空気を読む」「既読スルー」「ママカースト」などを例に紹介し、「個人の消去」「贈与・互酬の関係」「高い同調圧力」「排他性」「呪術性」といった「世間」の特徴をまず解説する。
そのうえで、犯罪をケガレとしてソトに排除しながらも、反省と謝罪でゆるしてウチに包摂もするという相反する性質をもつ「世間」で排他性が強化されていることを、1990年代末以降に台頭する犯罪の厳罰化を導きの糸として明らかにする。また、イスラム国人質殺害事件の被害者家族の謝罪やさまざまなバッシング、ネットでの炎上などの具体例から、排他性を下支えする同調圧力が日本で近年、とくに高まっていることを指摘する。
そして、排除志向を強めた「世間」が、人々の息苦しさや閉塞感を加速させて犯罪を生み出す仕組みを、2008年の秋葉原無差別殺傷事件、12年の『黒子のバスケ』脅迫事件、14年の佐世保高一女子同級生殺害事件の3つの事件を具体例にして精緻に読み解いていく。
ニッポン礼賛がテレビやネットにあふれファシズムにも似た「空気」が覆う日本の現状に、「世間」という視点から鋭く迫る時代診断の書。

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犯罪の世間学 なぜ日本では略奪も暴動もおきないのか のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    何か事件や不祥事が起こるたびに、関係のない家族のもとに押しかけるメディアや、会見を開いて姿の見えない「世間」に謝罪する人たちに並々ならぬ違和感を抱いていた。また、この国には個人も社会もないという本書のメッセージの一つは、私が海外で痛感したことの一つでもある。
    最近考えていたことが言語化されていて良か

    0
    2023年10月10日

    Posted by ブクログ

    世間という権力によって犯罪が抑止され,その反面で世間という秩序を乱す「抗空気罪」の存在が,耐えられなくなった人間の犯罪を誘発する。そんな日本社会の構造を形法学者が論じた本。
    学問的には微妙な気もするけど,当たってる面はありそう。
    でも途中いささか冷静さを欠いていて,厳しく天皇制を批判してみたり「九条

    0
    2016年04月26日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    かの大震災で世界から賞賛された略奪の起きない平和な日本は「世間」による犯罪抑止力により成し遂げられた。そのように、本書はいう。
    「世間」とは何かを示し(1)時間の共有(2)互酬関係(3)身分制(4)呪術性、これらを改めおさらいするとともに、そこに現れる犯罪とその犯罪者に対する罪と罰を独特の「ケガレ」

    0
    2016年05月04日

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