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書籍編集者の鳴木戸定。彼女は幼い頃、紀行作家の父と行った旅先で特異な体験をする。不器用に生きる定はある日、自分を取り巻く世界の素晴らしさに気づき、溢れ出す熱い思いを止めることができなかった。第1回河合隼雄物語賞受賞作。
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Posted by ブクログ
西加奈子の剥き出しの人間を描き出す、生々しい描写が、あまりにも濃厚で気持ち悪さを感じる時もあった、そして内容が単純にグロテスクと感じることもあったが、読み進めるのをやめられず一気に読んでしまった。 愛することを知った定とその定を取り巻く人との愛が、定を祝福するようなクライマックスに涙が出た。 「愛...続きを読むする」ということ、自分以外の人をそして自分自身を。
自分の語彙力がないあまり言葉に表す事を拒んでしまうほど圧倒的で熱い力を持った文章でした。 西加奈子さんの「白いしるし」を読んだ時、20歳にして人生で1番の本に出会ってしまったと思いましたが、また違う1番に出会ってしまったと感じました。 間違いなく、読み進めずにはおれない強さが、ありました。
西加奈子ワールド全開の作品だと思います。西さんが描かれる女性は個性的という形容詞に治まりきれないところに魅了される。クラスにいればからかわれたりいじめをうけたりするかもしれないが、それを凌駕する個性で近寄りがたい雰囲気を醸し出しているのではないだろうか。プロレスラーとの言葉のキャッチボールは読み手を...続きを読む引き込みます。当分西加奈子さんの作品から抜け出せない気がします。
言語化するのが難しい、『ふくわらい』という作品として体に染み込んでくるような感覚だった。 かなりセンシティブなグロ。 定の中に定着されない他人及び自己の存在というものがあるべき場所に落ち着いていく、 定の見る世界が平面から立体になっていく、 出会いや出来事の中でそれが自然と、次第になされていく表...続きを読む現技術がすごかった。 いい意味で映像化しえない作品だった。
妖気ただよう特異な体験をした人にまつわる物語として、感動しました。 しかし、この本は、 第一回の物語賞としては、 選考ミス、選考委員の人選ミスだったのではなかったのではないでしょうか? わたしは河合さんの文章に数多く触れてきた河合隼雄ファンです。 そんな中で、 河合さんは読後感の悪い本は嫌う、と思う...続きを読むようになりました。 物語性のある小説とは、一言で言うなら、意味のある偶然をどう脚色するかだと想います。 そして、読者に宗教性を浸透させていくのが河合さんが目指した文学だとおもいます。 この本、あまりに奇をてらうストーリーと表現が目立ちすぎませんか?僭越ですが、河合隼雄さんの奥様が読まれたら、これは違う?と感じるはずです。 「河合隼雄が選考委員じゃないから良いのでは?」 そうなんでしょうか? 選考委員は、著名な人だとは思いますが、この賞がポスト河合になっているようで、河合隼雄ファンとしては残念です。それに、ポスト河合の先陣をきっているのが、息子さんのチームです。息子さんはもう父とは違う未来を描いているのです。息子さんが頭脳明晰なのは、いろいろな活躍でわかります。ただ私は、息子さんが西洋近代科学の権化に見えてなりません。NHKで見た息子さんの顔を思い出すと、「この河合隼雄が脚色した日本の心理学は私が終わらせてやる!」の形相に見えます、まさに守口廃尊。 それに、息子さんは、河合さんが亡くなってから、急に河合隼雄を世間に語り始めたのも、妙に鼻につきます。 わたしとしては、ひとつの時代が終わったと了解するべきなんでしょうか。 仮にそうなら、私は2007年以前までは存在した河合隼雄の心理学をもう少し探求して、その真髄に近付きたいです。 「やられたー」と歓心する河合隼雄物語賞が読みたかった。 でも、2回目、3回目の物語賞も読んでみたいです。異次元を受け入れられないのは、私が歳をとりすぎているからかもしれないので・・。 (本が、この本があまりに過激で、こうゆう感動は欲しくなかった。なので、私の感想も辛辣に、日頃のうっぷんをはらすような表現になりました。申し訳ありません。 でも、読み終わってすぐの魂が熱いうちの言語化なので、訂正はしません。) 後付け 河合隼雄さんは存命中に、この賞が設立されて、どんな本が選ばれるか、わかっていたはずです。 息子さんの影響力が増し、自分を踏み台にして、あの子なりの、このような啓蒙活動をしていくだろうと、予見していました。 そして、それはそれで、是非もなし、と思ったはずです。 それなら、この賞は、河合隼雄が河合俊夫に委任した 物語賞と考えればよかったんです。 わたしはそう考えて、自分のこころの腑に落としました。
西加奈子さんの力強くて激情的な文章が好きだ。 ************************************************ 常に他人の顔で福笑いをする癖を持つ、鳴木戸定。 幼い頃から冒険家の父に連れられ様々な国を放浪し多くの特異体験を経て、エキセントリックに育つ。 編集者になった...続きを読む定は機械的に送る日常の中で、 奇人変人、個性的な人達との出会いによって、 自分への意識を、世界への見方を変化させてゆく。 ************************************************ 偏屈な作家、奇天烈なプロレスラー兼作家、 美人な同僚、定に猛アタックする盲目の男。 特にレスラーの守口廃尊と定のやりとりは、 豪快で痛快なのにどことなく繊細で胸を打つ。 日本生まれ日本育ちの我々の物差しでは計れない、 幼少期の定の体験は驚かされるしとても興味深い。 大人になっても行われる他人の顔での福笑い癖は、 自分と他人、世間とのズレや不明確、不安定さを 表しているし、そんな不器用で純粋な定は可愛い。 人との関わりの中で、少しずつ心が動いてゆく定。 常に自問自答し続ける廃尊や、 見えないからこそ見えてくるもの、信じるものを 素直な視点で語る武智、初めての友達の小暮さん、 母によって父によって乳母によって与えられた愛、 少しずつ噛み砕いて受け入れてゆく定の愛らしさ。 そんな定を受け入れ、肯定する世界の眩しさよ。 武智次郎の真意と、武智に向き合った定の心境は 今の私には全部はまだ捉えきれないが、 今後読み返す中で少しずつ反芻出来ればなと思う。 センシティブでグロテスクでかなり過激な描写や 下品な表現も多いので万人受けはしないだろうが、 読んでいて力が漲るような、毛穴が開くような、 体内の血の巡りが良くなり飛び回りたいような、 そんな力強さを感じられるこの作品が好きだ。 何度も読み返したくなる不思議な魅力がある。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎-------- 定は中学高校の思春期には、 価値観が変わるような経験はなかったのかな。 -----------✂︎-----------✂︎-----------✂︎--------
変わり者の多い物語ですが その人たちとの関わりによって定の世界がだんだんと広がっていくのが素敵でした。 水森康人が定の心の中の「純粋」を見たいと言っていましたが 何も知らない少女が、どんどん知識や刺激を吸収して1人の人間になっていくような感覚です。 なにより、定が「自分」を楽しむようになってよか...続きを読むったです。
特殊な環境で生きてきた主人公の定はとても変わっているが、私の周りにいないキャラクターで目が離せなくなってしまった。 言葉に対してとても誠実に生きているが、物語の初期は自分の感情にも周りの感情にも疎いことから少し冷淡に感じる。 それが、顔のパーツがありえない配置のプロレスラー守口廃尊や、見た目の良い編...続きを読む集の後輩 小暮しずく、イタリア人と日本人のハーフで目が見えない武智次郎と交わることで、胸が温かくなったり、吐き気がしたり笑顔を浮かべるようになったり世界への扉が開いて行くと、定の魅力もどんどん増して行った。 守口廃尊のキャラクターも良かったし、小暮しずくと仲良くなれたことも読んでいて嬉しかった。 ただ、武智次郎はちょっと気持ちが悪くて受け入れられなかった。 父との回想も圧倒されたが雨乞いのシーンも面白かった。 守口さんが言う様に定は「天才側」だなと私も思いながら読んだ。 この世界に引き込むのがうまい作家さんだなと思った。
平和そうなタイトルと壮絶な内容のギャップが素晴らしい。どうすればこんな発想が出来るのか?西加奈子の頭を割って見てみたいと思わせる変態小説。
バイソン!さよなら息子! 先っちょだけしかわかってない、人生のバックグラウンド。 父親の肉を食べる。
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