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一代で堀江酒造株式会社を築き、大阪の財界でも女傑でとおっている堀江ギンは、孫娘の晴子に早くも結婚の相手をみつけるのに、夢中だった。当の晴子は、まだ学生だから、将来の夢と考えている。しかし、堀江家は、代々、女が家を継いで発展してきたから、晴子にもいい養子を、というギンの持論で、ともかく、晴子は見合いをした。相手は、汽船会社の重役のぼんぼん。奇妙なことに、その青年よりも、ちょっと変わっていて口の悪い脇村のほうが、晴子には好ましく印象づけられた。そして、だましうちの見合いよりも、晴子に瓜二つの美しい弓子の登場が、彼女の心を強くゆさぶった……。
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モダンな言葉が印象的
初出が雑誌連載なのか、新聞連載なのか不明だが昭和39年に刊行された作品らしく、今は公園になっている長居競馬場のことも書かれていて、大阪文学の第一人者らしい描写は随所に感じることができる。ヘリンボーンやポートフォリオといった片仮名言葉もお洒落な言葉遣いで、登場人物がフランス文学や洋画に精通しているのと
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