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橘井堂(きっせいどう)医院には今日も子細ありげな患者が訪れる――。東大医学部を卒業後、父の診療所を手伝う森林太郎(鷗外)。ドイツ留学を熱望し、みずからの進路について煩悶しつつも、市井の一医者である父に「理想の生」のあり方を見出してゆく。明治14年、「青年医」の人間的成長を描く連作短篇集。
著者紹介 山崎光夫(やまざき・みつお)
1947年、福井市生まれ。早稲田大学教育学部卒業。85年『安楽処方箋』で小説現代新人賞、98年『藪の中の家 芥川自死の謎を解く』で第17回新田次郎文学賞を受賞。小説に『北里柴三郎 雷(ドンネル)と呼ばれた男』『殿、それでは戦国武将のお話をいたしましょう 貝原益軒の歴史夜話』など。医学・薬学関係に造詣が深い。
Posted by ブクログ 2023年07月25日
父親の手伝いをしながらドイツの留学をどうにか行けないか模索。体調不良で上位に入れず留学枠から外れたから父親の仕事ぶりを間近でみて患者に対する態度や接し方を学んだと思うし頭がいいのにそう感じさせない、高飛車ではないのが好感がもてる。ドイツ留学を念頭において周りの意見に振り回される事なく自分で解決しよう...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年07月24日
9つの短編からなる、東大卒業から陸軍に勤務するまでの数ヶ月間、父親の診療所を手伝う19歳の鴎外の青春物語。
西洋医学と漢方を取り混ぜた医療の様子や市井の人たちの生活ぶりがイキイキ描かれていて、道場の花が一番読み応えがあった。国事があの人を必要とした、というさなの言葉に動乱の幕末を経た明治の時代を生き...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年09月13日
「大塚製薬」の関連誌に連載というのも納得。
若き日の森鷗外が、父の診療所を手伝い、町医者をしていた頃を舞台にした
短編集。
後に歌舞伎研究者となる三木竹二、女性文学者の小金井貴美子や
明治の著名人などが、続々登場。
西周とのすれ違いなども、納得の描きぶり。
千葉さなが登場のエピソードに一番感激!
...続きを読む
Posted by ブクログ 2023年07月11日
森林太郎(鷗外)が、不本意な成績で留学がかなわず、父静雄の診療所で患者と接し、成長していく物語。
この本を読んでまず思ったことは、登場人物の言葉遣いがきれいなこと、落ち着いていること。父親は市井の人を診察するときも、患者の立場にたっていること。今と比べて技術ではかなわないかもしれないが、人をきちん...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年02月25日
鴎外の「カズイスチカ」が好きな人は本書をオススメしたい。
大学を卒業し、留学のツテが決まらず悩み奔走し、一方で町医者である父の診療所を手伝っていた頃の鴎外が生き生きと描かれています。当時の20才の青年の青春譚としても面白い。
大塚製薬の医家向け情報誌でこんな面白いもの連載してるんですね。連載はまだ続...続きを読む
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