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虐待を受けた子ども、身寄りのない子どもたちが暮らす児童養護施設。2019年、児童養護施設の元入所者が、誰よりも自分に救いの手を差しのべた施設長を殺害。不可解な事件の背景には児童福祉制度の構造的な問題があった。どんな境遇に生まれようが、子どもには等しく未来があるはずだ。そんな思いで筆者は立ち上がった。NHK総合「事件の涙 未来を見せたかった ~児童養護施設長殺害事件~」をもとに執筆した渾身のルポルタージュ。
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Posted by ブクログ
事件のことは頭にあって、亡くなられた 背景などがわかるかと思い手に取った本。 これだけ子どもに本気で向き合い、 寄り添い、慕われてきた 正義感の強い大森さんという存在が、 失われてしまったことはかなりの損失だと 感じた。 でも児童養護施設にかかわる方が 「これね、結構みんな口々にいうんですけど...続きを読む、 自分が困った状況とか迷ったときに、 大森さんだったら何て言うかなって 考えちゃうんだよね。彼の独特の物の見方、 考え方っていうのは、みんなの中にすでに 内在化してるみたいで。いなくなったけど これからも大森さんは私たちの中にいるんだと 思います」 と言っていたのは印象に残ったし 「子どもにはとにかく罪がない、 悪いことは悪いし、ダメなものは ダメだけど、子どもの発達っていうのは 社会とのかかわりにおける反応の過程なので。 どこまでいっても我々は子どものせいには できないですね。」 と大森さんと常々話していたと。 こういう考え方の人が、子どもたちを 助け、支えてあげられるんだなと思った。 いまの日本社会は、自己責任とか親ガチャ とか“あきらめろ“みたいな雰囲気で、 がんばれない人は、仕方ないみたいな… それで社会はよくなっていくのかな? 国が救いだしたり、助けたりっていう 発想があんまりなくて、 たとえば虐待死なんかも 児童相談所の対応なんかを指摘して それで終わっている。 それ以前の根本的な問題もあるはずなのに。 生まれてからせいぜい18歳くらいまでの 環境のせいで、この先の何十年続く人生を 思うように生きられるチャンスが 無くなっているなんて苦しすぎる。
子どものアフターケアのために奔走いていた大森施設長が支援を受けていたAに殺害された。Aは心神喪失で不起訴。事件は埋もれていった。事件を忘れないための全力の取材。
コロナ禍の影響は社会的立場が弱い人達に現れる。例えば児童養護施設の卒業生は、児童養護施設を実家のように感じており、心のより所であるはず。コロナ禍において感染拡大の理由から気軽に施設に立ち寄ることのできない状況は当事者にとってとんでもなく辛い状況なんだろう。 本当に細い辛うじて繋がっていた糸が切れてし...続きを読むまうような体験があったのがコロナ禍の影響としたあったのだ、そんな当たり前のことに気づかせてくれた一冊。 福祉や医療の中で10代後半の子ども達をどう支えるか?皆で支えるしかないのだが、どうやってシステムを作っていくか?それは日本の課題だと思う。
この事件で亡くなられた施設長の方が本当に職員や子どもたちに慕われ、子どものために尽力しているのが伝わってきた。しかし、公私を越えて、時には私財を投げ売ってでも年齢のために施設を去る子らの生活支援にまで手をかけていたのは明らかにマンパワーの限界に近いものがあると感じた。もちろん、こういった本当に善意で...続きを読むもって働き続けられる信念は素晴らしいが、個人の力に頼った支援はやはり限界がある。
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児童養護施設 施設長 殺害事件 児童福祉制度の狭間に落ちた「子ども」たちの悲鳴
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