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父の通夜にきた女の、喪服からのぞいた襦袢の襟の色(「桃色」)。女が出て行ったあと、卓袱台のうえに残された腐りかけた桃の匂い(「桃--お葉の匂い」)。濃密で甘く官能的な果実をモチーフに紡ぎ出される八つの短編。
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Posted by ブクログ
色気のある文章で綴られた短編集です。官能的な物語の中にも静謐な美しさがあります(官能小説ではありません) これも智内兄助の表紙ですね。物語の世界を良く体現していると思います。
熊本の老舗・長崎書店のユニークな文庫本キャンペーン 「La!Bunko」で、セレクターの一人として推薦させてもらったのが この本。 むせ返るようなエロティシズムの中にも知性と上品さを感じさせる 久世ワールド満載の短編集。 この世界を新作で味わえなくなったのが惜しまれてならない。
どのお話も色気と儚さとに満ちています。 闇と光が渾然一体となって妖艶な吐息をつく感じ。 悲しい話が多いはずなのに、涙よりも溜め息の方が先にあふれてしまいます。
勝手に言うなら、概ね不幸な女子の話である。 そして概ね、流行りの言葉で言うなら、性的に搾取されているとでも言うべきか。 そこには必ずやってる男子がいて、それを読むオッサンとしては、けしからんとなる。いやー、この気持ちはオッサンにしか分からんか。 と言っても最初の話はニャンコとオッサンの話で、いちいち...続きを読むオッサンがいやらしい気持ちでネコを見るという実に気持ち悪くて最高である。 こういうのでいいんだよ、と言いたい。
桃にまつわる、昭和初期の怪しくも美しい物語8編。現代よりもより死が身近であった時代。傍では悪い人生だったであろうに、当人にとって本当のところはどうだったのだろうか?がテーマか。全て佳作であるが、「尼港」の首と父の晩年、「指」のひどい仕打ちの客観視、「二人」の間際の救い、「響き」のもう一度同じ境遇に生...続きを読むまれ変わり、もう一度繰り返せたらよいねという送り言葉の4編が特に気に行った。
「桃」をモチーフにした短編集。 どの話もねっとりとした湿った空気を感じる。 直接的表現はほとんどないにもかかわらず、 文章から匂い立つエロティシズムに圧倒される。 画像をイメージすると、全体的に薄暗いのに、 クッキリと桃の色や花の色が目の前に広がる。 熟れた桃の果汁の匂いも漂ってきそう。
短編集。本から桃の匂いがしそうな話ばっかり。怪しい世界。若い女の子がでてきたり、戦争や関東大震災に絡んでる話が多い。どれも悲しい話に見えるけど、主人公達は一生懸命生きてるからそんなに暗くない。大正、昭和の雰囲気が出てて好き。「同行二人」が一番好き。八重が好き。「桃」は絶対どこかに使われている。(20...続きを読む080407)
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