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20歳の時、51歳の伝説のフォトジャーナリスト、 ユージン・スミスと出会ったアイリーン・美緒子・スプレイグ。 二人は、チッソの工場排水が引き起こす 未曽有の被害に苦しむ水俣を目指した。 世界に衝撃を与えた、人生最後の一枚を撮るために。 取材開始から十余年、それぞれの運命を背負った二人が、 近代化の傷と再生の瞬間を切り取った 濃密な三年間に迫る大河ノンフィクション。
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Posted by ブクログ
読み終えたあと しばし放心してしまう 優れたノンフィクションに出逢ったときに 経験する そんな一冊です 単なる固有名詞としてしか知らなかった ユージン・スミスさん アイリーンさん ミナマタ チッソ 有機水銀中毒 水俣闘争 それらの単語が 次から次へと 有機的につながっていく それも密接な関連性を持...続きを読むってつながっていく 石牟礼道子さん 渡辺京二さんの 著書の時とは また違った感動を 持つことができた ユージン・スミスさんの一枚 アイリーン・スミスさんの一枚 石牟礼道子さんの著書に 出逢うたびに 思い起こす一冊になりそうです
映画『MINAMATA』関連の記事で知り気になって読み始めたら…さすが『女帝』の著者石井妙子さん、序章からぐいぐい一気読み。 時系列を遡って見えてくる偶然や必然の出会いには人間の愚かさと同時に底力も感じるが、水俣に対する仕打ちには(特定の信仰は持たないが)巡り合せた神仏を怨みたくなる。私自身は裁判を...続きを読む報じるニュースや同時期のビッグニュースを微かに記憶している世代。伝えていかなければ。
水俣被害がこんなにも複雑な事件だったなんて まったく知らなかった 高度経済成長期の真っ只中、国は未来を担う企業としてチッソを擁護、チッソは廃水のことを知りながらも廃水を流し続ける、地域住民は仕事を失うことを恐れ病を隠したり被害者を差別した者も数多くいた 負のスパイラルがすべてを飲み込み、未曾有の惨劇...続きを読むとなった 本書は“水俣被害”を中心に、報道カメラマン ユージン・スミスと水俣によって人生の扉を開いたアイリーンの3つが重なり合う ユージンの生い立ちから第二次大戦で戦場カメラマンとしての功績とその後の苦悩、ハーフに負い目を感じていたアイリーンがアイデンティティを確立する過程が描かれ、すべてが水俣に集結する 水俣闘争はあまりにも深く悲惨な事件 たしかにユージンの写真はものすごいインパクトがあり、一瞬にして公害の恐ろしさが伝わる ユージンが撮った水俣被害の写真は世界的に有名になった、けれどその影で辛い思いをしている人たちも少なからずいる 被写体になった水俣の人たちはいつまでも悲惨な姿を写した写真を見せたいだろうか 公害は恐ろしい、こんなことあってはならない 世界はSDGsな社会を目指している、SDGs自体には賛成だけど過去を見過ごしての未来はあり得ないと思う 水俣被害の闘争はまだ続いている
見て、感じて、そして、自分で考えてくれ、というユージン・スミスのメッセージはそのままこの本にも当てはまる。 水俣病のことは一通り習ったはずだが、ユージン&アイリーンのこの問題への関わり方を通して改めて考え直す事ができた。
日本の高度経済成長の背景で、水俣病などの公害被害があったことを忘れてはならないと思う。そして、この公害問題の複雑さ。被害に遭われた方同士でも確執があり、また、住民が労働の場として、チッソの恩恵にあっているのも事実。何かの繁栄の背景には、誰かの犠牲があるのかもしれない。本当に複雑な問題だと思う。
“MINAMATA ”を観たあと読みました。映画の疑問点が色々と補完できて、一つの映画作品として仕上げるために舞台を変えたり加減したところも確認できました。 企業と公害被害者という関係だけでなく、国策、マスコミ、様々な問題が、その辛い状況の上に幾重にも積み重なる。特に地域の人間関係が壊れる様子はあま...続きを読むりに辛く哀しい。 そして国の対応には憤怒の炎が立ち上がる。 ユージンの作品はいつかこの目で見てみたい。
映画MINAMATAから来た。圧倒的衝撃力で突き刺さった今年No. 1候補。こんなにも突き刺さったのは、何も知らずに生きてきた自分のなんというか無力感でもあった。教科書的なことしか知らないから、この非情な現実も会社や国の態度もそこで生きる人たちの葛藤もそしてそこに共に生きた写真家のことも、その全てに...続きを読む衝撃。そこで今も必死に生きる人々も、狂気的写真家ユージンも共に水俣を生きたアイリーンも、その必死な生き方が伝わる。 本の最初に差し込まれている数枚の写真に関する物語。最後の写真(それは水俣写真集の最後の写真でもある)の意味。ユージンが過去に賞賛を浴びた「楽園への歩み)との対比。ユージンと著者が問いかける、水俣からの学びは、少なくとも僕にはこれまで生かされていなかった。現代社会にはどうだろうか。月並みな表現力が歯痒いけど、出会えて良かった本。出会わなければいけなかった本。
熊本県水俣市 チッソの工場排水により水俣病が起きた チッソが責任を認めずそれと闘う患者達 患者達をカメラで撮影したアメリカ人夫婦の話 歴史的事実程度の認識しかない自分を恥じた。この人達がいるから今安全に暮らしているのだと思う。アメリカ人夫婦の数奇な巡り合せも加わり、一気に読んでしまった。 ユージ...続きを読むン スミス 入浴する智子と母 JNCの水俣病関連支出額 4000億円 水俣病被害者 7万人
映画『MINAMATA』をきっかけに読んだ。映画より本のほうがあとに書かれているが、取材は14年以上前まで遡る。アイリーンとユージン、それぞれの個人史や水俣病前史まで、映画の時間軸よりずっと長く書かれている。アイリーンの家族の歴史もかなり遡って掘り下げられていて、それだけで一遍の映画ができそうだ。 ...続きを読む 映画がどこを脚色しているかも、ある程度わかる。アイリーンとユージンの結婚までのいきさつはほぼフィクション。暗室の火事もたぶんフィクション。一方で、ユージンがチッソで受けた暴行は、映像より実際のほうが過酷だ。少しショックだったのは“水俣のピエタ”と呼ばれた有名な写真は、被写体家族の意思に反して使われたということ。アイリーンは長く封印していた使用許可を、この映画には出した。俳優による映像の再現度もかなり高かったから、実物を使わない選択もあったと思う。 水俣病の発見から認定、保障の闘争も、詳しく、しかし手際よくまとめられていて、改めてその苦闘を思い知らされる。これを読むと、水俣市が映画上映を後援しなかった事情、一方でつなぎ美術館は上映した事情もおぼろげに見えてくる。 読みやすく心をつかまれるノンフィクションで、映画を観て水俣に改めて関心を持った人には一読を勧めたい。そしてもう一本の映画『水俣曼荼羅』も観たくなった。
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魂を撮ろう ユージン・スミスとアイリーンの水俣
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石井妙子
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