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Posted by ブクログ 2019年05月12日
やるせない、すくいようがないようでいながら不思議と清貧的なさわやかさがある小説だった。しっとりと読み応えのある小説らしい小説だった。
特に第二部「滴る陽のしずくにも」のほうがよかった。それはたぶん、気だるく無頼に生きていた達夫が、結婚し子どもをもってそれなりに生きている様子が描かれていたから。独り身...続きを読む
Posted by ブクログ 2021年05月03日
海岸沿いの北方の小さな街での孤独な男が百円ライターがきっかけで出会う貧困と堕落した家族との物語
この小説は2部構成になっており1部は造船会社でリストラに会って間もない孤独で無職の達夫と貧乏暮らしでバラック小屋に住んでいる拓児と姉千夏と母親、痴呆の父親の4人家族に出会って何故かこの家族に惹かれてゆく...続きを読む
Posted by ブクログ 2018年09月13日
作家が表現したいことがどんなにいびつなものでも、情理を尽くして語ることで、小説を小説たらしめることができるのだなぁ、と思う。
主人公のスカシ具合とか、読みづらい短文の連続とか、世界のとらえ方は私の知っている世界とは違うが、この小説には読ませる何かがある。
それが何かが言えないところが、小説を小説たら...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年07月28日
海炭市叙景で感じた文体の瑞々しさとは、
また少し違った眩さ溢れる作品。
一文の短さや、
出来事の始まりを回想で蘇らせることで、
特別な瞬間として装飾する方法や、
限りなく内的な移り変わりなはずなのに、
景色で語られるその心情やらが、
すべて抑制的なのに、
夏の光、冬の光、
生々しい底に?
もしくは...続きを読む
Posted by ブクログ 2016年02月11日
作者である佐藤泰志の唯一の長編作品。
30歳を間近に控える主人公が、観光しか取り柄の無い地方都市で、衰退していく会社に見切りを付け、ブラブラと無意味な日々を過ごす。物語の始まりは数奇なもので、その邂逅から、ダラダラと、怠惰に、それでもしっかりと、段々と、生きているという認識をさせられる。
人物の行動...続きを読む
Posted by ブクログ 2022年11月10日
10年近く前に映画を観て、ずいぶん暗くて行き場の無い街と人々だな、と感じた。函館行きを前に佐藤泰志「海炭市叙景」を読み返したのに続き、こちらも読んだ。映画の物語は忘れていて千夏が魅力的だったことだけ覚えてる。小説の中でもおんなじだ。炭鉱、造船所、歓楽街、競輪場、刑務所、と楽しみにしている函館旅行がま...続きを読む
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