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Posted by ブクログ
読んでて超楽しい…!
一首ごとに添えられたコメント、その歌のどこがどうして素晴らしいかの言語化がすごい(言語化力の欠如)
数百首が並べられた中には、スッと情景が浮かぶような、すでに知っている感覚を追体験するような歌がある。確かに怖い歌は良い歌です。
「わかる感覚」のお気に入りを書き残す
○正しさが欲しかったから25時赤信号にひとり従う (都季・女・23歳)
○針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う (木下龍也・男・23歳)
○旅先の乗換駅にもNOVAがある神さま意外と丁寧ですね (山本まとも・男・25歳)
○コンビニのおでん仕込まれ幾千の大根しみる列島の朝 (西口ひろ子・女・45歳)
○パトカーは僕の容疑を決めかねてたぶん真横を通っていった (ななはる・男・30歳)
Posted by ブクログ
「短歌ください」の第二弾です。
穂村さんの選ぶ歌はちょっと一癖ある歌が多い気がしました。
私の平々凡々な頭ではとても思いつかない歌ばかりだと思います。
現在、歌人としてご活躍中の木下龍也さん岡野大嗣さん、鈴木晴香さんらのご活躍もあります。
17歳の少年歌人として投稿されていた寺井龍哉さんが文庫の解説を書かれています。
とにかく、歌を載せますのでお時間のある方は読まれてみてください。
<革靴を買うと偽り二時間のロマンポルノを観た十五の夏> (寺井龍哉・男・17歳)
<ともだちの家に今夜は泊まるけど何もいらないぜーんぶ借りる> (平岡あみ・女・16歳)
<午前2時裸で便座を感じてる 明日でイエスは2010才> (直・女・17歳)
<夏の日に山の手にある病院でたしかに野犬を見たのだけれど> (小川あい子・女・30歳)
<あなたのそのキュピュンと光るつむじの中に吸い込まれそう雨上がったね> (深田海子・女・24歳)
<俺なんかどこが良いのと聞く君はあたしのどこが駄目なんだろう> (泡凪伊良佳・女・16歳)
<来年もよろしくと言ったあの人は知らないうちにオムレツの彼方> (エイシャ・女・22歳)
<針に糸通せぬ父もメトロでは目を閉じたまま東京を縫う> (木下龍也・男・23歳)
<おかあさん死なないでと掛け布団につかみかかる86歳のわたし> (滝谷脩紀奈・女・24歳)
<幻か。愛していると思ってた。見たこともないこどものあなたも。> (ジュン・女・52歳)
<パステルの黄色がみつからないのです、ちょうちょが白くて困っています> (いさご・女・22歳)
<ともだちはみんな雑巾ぼくだけが父の肌着で窓を拭いてる> (岡野大嗣・男・31歳)
<「そのコート素敵な闇の色ですね」君に心を持って行かれる> (えむ・女・21歳)
<蛇口から銀河流れるシンクへと溜めた銀河でラディッシュ洗う> (九螺ささら・女・43歳)
<答え合わせしてよ初めて愛すんだ空欄だけは無くしとくから> (ナルヒト・女・17歳)
<あいつらが結婚したということでますます町は小さく見える> (ななはる・男・30歳)
<死ぬときにこの手握ってくれる人募集中 すこし急いでいます> (つきの・女)
<隣人にはじめて声をかけられる「おはよう」でなく「たすけてくれ」と> (木下龍也・男・24歳)
Posted by ブクログ
掲載されている短歌自体も素晴らしいが、穂村弘の解説も凄い。一つ、紹介したい。
“君を待つ3分間、化学調味料と旅をする。2分、耐え切れずと目を覆い、蓋はついに暴かれた。”
せつこという、当時15歳の女性が書いた短歌だ。定型から完全にはみ出したこの短歌に著者はこう書いている。
“カップラーメンの出来上がりが待てなくて2分で開けて食べちゃった。たったそれだけのことを、ここまでハイテンションに詠い切ったのは凄い。今度は五七五七七の短歌定型でつくってみてください。”
化学調味料と旅をする、っていう表現も斬新だが、蓋はついに暴かれた、っていう表現はもっと凄い。
先祖代々絶対開けてはいけません、と言われている開かずの扉が、ついに今開かれる、みたいな異様なテンションだ。表現力が素晴らしい。
あと、次の募集テーマが「バス」ということで、ブク友の5552が書いていたバス旅を俺もやってみたいと思い、昨日やってみた。
ユニクロへ行くだけの短時間の旅だったが楽しかったなぁ。「降りますボタン」も久々に押したし、懐かしい気持ちになれて良かった。たまには、馬ではなくバスにも乗ろうと思う。
バスの短歌のイメージもいろいろ湧いてきたからじっくり作っていきたい。
Posted by ブクログ
穂村弘(1962年~)氏は、札幌市生まれ、上智大学文学部卒、1986年に連作「シンジケート」で角川短歌賞次席(同年の受賞作は俵万智の『サラダ記念日』)、1990年代には加藤治郎、荻原裕幸等とともに「ニューウェーブ短歌」運動を推進した、現代短歌を代表する歌人の一人。エッセイスト、絵本の翻訳家等としても活動している。
本書は、月刊誌「ダ・ヴィンチ」に連載されている短歌投稿コーナー「短歌ください」の2010年11月号~2013年4月号をまとめた単行本を加筆・修正の上、2020年に文庫化したものである。尚、2008年5月号~2010年10月号をまとめたものも、2014年に文庫出版されている
私は50代の会社員で、最近短歌に興味を持ち始め、これまで俵万智、穂村弘、東直子、枡野浩一、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら等の歌集や短歌入門書、いくつかの現代短歌のアンソロジーを読み、半年ほど前から新聞短歌に投稿している(最近ぽつぽつ採用されるようにもなった)。
また、穂村氏の作品では、歌集『ラインマーカーズ』、入門書の『はじめての短歌』、『短歌という爆弾』、エッセイ集の『鳥肌が』(講談社エッセイ賞受賞)、『蚊がいる』、対談集の『あの人と短歌』等をこれまで読んできた。
本書については、以前より目にしつつも、せっかく読むならプロの歌集の方がいいだろうと思い、敬遠していたのだが、本屋でパラパラとめくってみると、木下龍也、岡野大嗣、九螺ささら、木下侑介など、後に歌集を出す人々の作品も多数含まれており、上記の2008~2010年のものと一緒に購入して丁寧に読んでみた。
読み終えてみて、若く、感性の鋭い人たちの歌には感心しきりなのだが、一方で、私が現在モチベーションとする新聞歌壇にはこうした歌はほとんど選ばれておらず、日常に起こったことを日記のように詠んだ歌が大半である。その背景としては、投稿者の母集団の年齢層が異なること(「ダ・ヴィンチ」は主に10~30代、新聞歌壇は主に50代以上、だろうか)が大きいと思われるが、また、選者も、媒体の性格や投稿者の母集団の指向を意識した上で、選んでいるのかも知れない。
そうした意味では、短歌とは様々な作風があり得る、実に幅の広いものだと改めて感じると同時に、若い人たちの感覚も取り込みつつ、色々な作風の歌を作れるようになりたいと思う次第である。
また、この「短歌ください」や、かつて枡野浩一が少女向け月刊漫画誌「キューティ・コミック」に連載していた短歌投稿コーナー(ここから加藤千恵や佐藤真由美が出た)が、こうした機会がなければ短歌に興味を持つことすらなかったかも知れない若手歌人の発掘に貢献しているというのは、実に素晴らしいことだと思う。
(2022年3月了)
Posted by ブクログ
極個人的な感覚だと思っていたものが、他の人によって鮮やかに言語化され、共有される驚きだったり、思いもよらない角度からのものの見方におお!となったり、かつて感じたことのある心の揺れがアルバムのように並んでいたり、31文字、季語がなくてOKな現代短歌の世界はとてもユニークで豊かでした。
このシリーズの他の本も、読んでみようと思います。
気になった短歌をいくつか
さかあがり靴を飛ばして落下するもう懐かしい地上ただいま
明日からも生きようとする者だけが集う夕べのスーパーマーケット
戦争はもうなかったよ 飴を噛む六歳にとって私はおとな
煮え切らぬきみに別れを告げている細胞たちの多数決として
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