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利発だが酷い痘痕の姉ふゆ。逆上せ癖で縹緻よしの妹りよ。幼くして父を亡くし、ふゆは手習師匠の手伝いに、りよは船宿の下女奉公に出された。師匠の養子で禍々しいほどに歪んだ性癖をもつ宗三郎から手籠めにされたふゆは懐妊するが、現人神と崇められる女医者と出逢い、彼女の人生は大きく変わっていく。自我に目覚めた主人公が、女の生と向き合う、時代小説の新しい扉!
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Posted by ブクログ
読み始めてから20ページ位でこの小説のホンモノぶりに圧倒された。おー、自分はすごい小説を読みはじめてるぞとブルっと震えた。 朝倉かすみ、底が知れない…。 他の作家たちはこの才能に嫉妬するだろうなぁ。 ちょうど直木賞の候補作になったと言うニュースが飛び込んできて思ったのは、選考委員たちは、選ぶ側の...続きを読む自分の作家としての実力を問われるだろうなということ。 だから、「平場の月」で受賞させればよかったのに。 ふゆを始めとする「けんぐぁい」の女たちへの溢れる愛に満ちて、胸が熱くなる。 その女たちのそれぞれの心の中に深く深く入っていって、その女たちが生まれ持ったものをどう始末していくか、どう飼い馴らしていくか、どうそれとともに生きていくかということを愛情を惜しまず書いている。 どの女も大変で、どの女も愛おしい。 文学作品でもあると同時に、エンターテイメント作品でもあり、ぐいぐい読ませるが、勿体無くて読み飛ばしたくなかった。 朝倉かすみは、最も好きな作家の家の1人だが、こんな作品も読ませてくれるとは想像上回る喜びだった。 ずっと朝倉かすみを追っていきたいと改めて思った。
ジャケ買いで帯と装丁を見るなりレジに持って行きました。禍福は糾える縄の如し、というフレーズはあらゆる本で語られますよね。本作中では江戸ならでは、これはちと粋じゃないと言うことで賽の目の1の裏は6理論ってのが小洒落ていて、人生はくじ引きだけどその結末は誰にも分からないよ、ということらしい。作中のふゆも...続きを読む幼いときは痘瘡を周囲からいじられて作り笑いを見せる姿があり、やがて自分を"けんぐわい"に生きるしかない人間だ、と痘瘡面の自分は普通には生きられないと思い込ませられるんですけど、果たしてそうなのか?を問う作品です。思い込ませられたのは、それはそれとして、それを背負い自ら螺旋階段を降りて生きていくことは無いんだ!という気づきに変わる瞬間があるんですね。人っていろんな失敗や枷を背負って生きるけども、別にそれをマイナスに思って生きなくてイイじゃん!ていう小説で、文体も装丁も設定も大好き。朝倉かすみ先生ありがとう。
著者初の時代小説ということだが、現代を舞台にしたこれまでの作品に負けず劣らず濃密な筆致を堪能できる。 本作では当時の言葉遣いを現代語に変換せず、恐らくだが忠実に再現させており、そこに著者お得意のインパクトある心情描写が重なることで、比類なき作品世界が構築されている。 個人的には主人公およびその周囲の...続きを読む女性の生と性、そして自立していく様が現代にも通じるテーマを孕んでいて面白かった。 タイトルの「けんぐゎい」=「圏外」という部分があまりしっくりこなかったのだけど、それを差し引いても優れた作品だと思う。 『平場の月』『よむよむかたる』と同じ著者とは思えないくらい幅広い作風でありつつ、この作品でも「朝倉節」が健在である点は著者のオリジナリティとしてもっと評価されてほしいし、これで直木賞獲って欲しいところではあるんだけど、今回は別に凄いのがいるからなあ。。。
この本読んで思ったのは、やっぱ男女の性差はあるよね…ということ。 子を宿す、産む、という身体的な機能が女の一生にいかに影響するのか。 妊娠と出産の生々しさが強烈で、のぞなまない出産、のぞまれない妊娠などを取り上げつつ、母親になる喜びとか、育児とか、そういうものは極力排除している印象を受けた。 オノマ...続きを読むトペの使い方が生々しく、性の描写の気色悪さと嫌悪感がすごかった…。 痘痕顔だから親から諦められてたり、手篭めにされて性の捌け口にされたり、まぁ読んでてこれ以上の屈辱ないなと嫌な気持ちになった。 この嫌悪感ってどこからくるのかなって考えたんだけど、多分、周囲の言いなりになるしかなくて、身も心も無茶苦茶にされてるからなのだと思う。 勝手に人生を決められ、レッテルを貼られ、支配される。なんのために生きてんだ!と絶望感がひどい。 女の幸せを世間に決められてしまうのことの、極端な不幸な形がふゆの身に起こったことなのだと思う。 ただ、そこでふゆが最終的には自分自身の責任に置き換えたところに、強かな部分を感じた。 他人から人生を決められても、最終的に自分の価値を決めるのは自分しかないっていう力強いメッセージとか、モデルを示された気がした。 ラストに、りよが語った話がすごく印象に残っている。 大切な人から、何もしなくてもあなたはそのままでよくて大切なんだと伝えてもらえる。 これって究極の幸せだよなぁと…。 誰かをありのままで大切にできる、そんな柔らかで心地よい気持ちを持っていたいなと思う。
人生は選択の連続だ。この言葉が声高に殊更すばらしいもののように語られるほとんどの瞬間、自らの掌中に決定権がある優位性自体に対する俯瞰は尽く排されているように思えてならない。勿論、格言すべてを否定する訳ではないけれど、強い立場の人間が選ぶことによってすぐ隣にいる弱い立場の人(たち)が《選ばされ》てしま...続きを読むう辛苦は、あるいはその強いられた選択を自主性に基づいたものだと己のうちで捻じ曲げて飲み込もうとする自己防衛(本作に於いてはレイプされたことに対する)は、その深さ暗さが深刻だからこそ実相が見えづらく痛切は極まる。疱瘡の後遺症で全身に痘痕が残っている容姿や利発さといったけんぐゎい(普通からの圏外)を理由に性被害を受けた主人公の“ふゆ”が、それら後天的要因=選んでないものから感じていた引け目と折り合いをつけながら、生来の善しと共に女医者として命がうまれる場所で生きてゆく様には、一人の女性としての決意を見ました。朝倉さんが初めて書いた時代小説は、私がこれまで読んできた他作者の同ジャンルとは少し雰囲気が違っていて、ある種、異形と呼んでもいい作品でとても興味深く読みました。
第175回直木賞の候補作とのことで、読んでみました。 ルッキズムと女性の地位がテーマの作品とお見受けしました。 ところどころ、比喩表現が何を指しているのか分からなかったり、単語の意味がつかめなかったりして、著者の表現したいものをきちんと理解できているのか、不安な部分もあります。 とはいえ、私な...続きを読むりに感想を書いていこうと思います。 感想を書くためにパラパラと見返していたのですが、思いのほか付箋をたくさん貼っていました……。 中でも一番響いたのは、こちらです。 〈我が身に起こるのは、みいんな、この手で選み取ったものなのよ〉 生きていると、大なり小なり選択の連続です。 そして、その一つひとつは、すべて自分で決めたことなんですよね。 一見、他人が決めたかのように思えることも、それを受け入れることも含めて、自分で選んでいる。 不運なことが続くと、誰かのせいにしたくなります。 けれど、結局は自分で選び、行動し、その結果が自分に返ってくる。 生きている間は、そんなことの繰り返しなのかもしれません。 一見、間違えたように思える選択や、他人に認められず、やむなく別の道を選ばざるを得なかったこと。 そのときは不運に感じられても、時間が経ってから振り返ると、幸運へと逆転していることもあります。 もちろん、その逆も然り。 どう転んだとしても、自分で選んだことなのだと腹落ちしていることが、重要な気がしました。 正直に言うと、気持ちよく読める本ではありません。 ふゆという一人の女性に、災難がこれでもかというほど降りかかり、読んでいて辛くなります。 そんな彼女にようやく転機が訪れたかと思えば、そこでもまた不幸が襲う。 けれど、その数々の不幸がラストのふゆへとつながっているのだと思うと、それらがあったからこそ、あの結末にたどり着いたのだとも思えてきます。 〈一生ってきっと籤引きの連続なのよ。〉 数ある籤引きを繰り返した末に、今の自分がここにいる。 人生とは、きっとそういうものなのかもしれません……。
なんでこれが直木賞?朝倉さん、もっと力作あるのに。自分が世間の感覚とズレてきたのか…。読後感も宗三郎の気持ち悪さしか残らず。
自分の生まれ持った"善し"を拠り所にして生きるということだと解釈した 生まれ持った善しには家格や家柄、病や姿形、技能や器量、あるいは性別も含まれるのだろう 本作は江戸時代が舞台と思われ、貧しい生まれながら賢い頭をもち、幼い頃の病の影響で目立つ痘痕のある女性の人生を描く その...続きを読む特質や境遇からさまざまな波乱に出くわすのだが、胸の中のウニコール(ユニコーン)が彼女の味方をする 表題のけんぐゎいは圏外の意で、作中では彼女の痘痕面や女性ながらに優れた能力を指して「お前は圏外だ、私たち尋常のものとは違うのだ」と評される 見た目や能力を指して描かれているが、現代社会に当てはめると、様々な要素が適用されるものに思う
環境ー周りーに翻弄される。 荒波に木の葉が上下左右不明なままもみくちゃにされるが如く。 口の中で砂利を噛みしめるかの如く。 不快感があるのに。 目をそらす気にはならなかった。 ◇◇◇◇◇◇ 【タイトル】けんぐわい 【 著者 】朝倉かすみ 【 出版社 】光文社 ◇◇◇◇◇◇ あぁ、...続きを読むなんという物語を読んだのだろうか。 溜息が出る。 陰湿で粘着質で、 そこに留まったら黴が生えてきそうな空気感だ。 そんな上下左右もわからない、 真っ暗な中を壁に触れる手だけを頼りに進んでいる。 よく歩みを止めないものだ。 ふゆの女として、 人間としての 静かな火種を絶やさぬ『生命力』を感じる。 現人神というより怪異に近い不気味さ末恐ろしさを感じる。 ◇◇◇◇◇◇ 宗三郎も同じ。 この男も妖、怪異の匂いがする。 腹の底から湧き上がる悪寒。 逃げようとも逃げられない。 地の底まで追ってきそうな執拗さ。 ◇◇◇◇◇◇ 人外の怪異の要素を抽出した人々。 まさしく『人間』たちが織りなす、 迷いが消え揺るぎない『生』の物語だった。 ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー おまえは、一生、外側にいるしかないんだ。わしらの側には入れない 扶けるというのは手を貸すこと。知恵を貸すこと。技を貸すこと、それだけだ。おまえはもうなんにも心配しなくていいんだよ。ありったけの力であたしにしがみついていさえすれば、それでいい けんぐゎいなどというものは、いのちのなかのひとつに過ぎない。天から垂れた藁を吞み込んで、拠り合わせた縄の一斑 あたしの持って生まれた味とはなんだ
前半はまだ面白かったけど(面白いと言う表現はちょっと不適切だけど)、ちゅう太が出てきたあたりから、なんか急に展開??ってなった。ちゅう太、おこまさま、ヒデさん。すごく大事な人物なんだけど、おっかあは毒気が抜けて人が変わったようだし、ちゅう太&おこまさまもどういうつながり?とうまく消化できず。...続きを読む つる、かめ、りよのつながりは理解。 引け目は拡張するのである、という一説がけんぐわいの元かな、と思った。
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