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江戸時代、国内最大の叢書『群書類従』の編纂に生涯を懸けた、全盲の学者・塙保己一。盲人とは思えぬ前代未聞の偉業の傍らに常にあったのは、目明き――妻、学者仲間、門弟らとの、すれ違いだった。 “天才・塙保己一”の目に映っていたのは、絶望か希望か、それとも――。「あのお方は、我々には見えぬものまで見えているのさ」
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Posted by ブクログ
⭐️5+ 江戸時代の偉人 塙保己一の生涯 幼くして失明し、武蔵の国から江戸に出て、学問で身を立てた保己一 盲の世界で既存の階段を登りつつ、誰も歩んだことのない道を開く 江戸時代の世相や風俗が沢山描かれていて興味深かった 人は何を見て何が見えないのか 示唆に富む作品でした
もともとはダヴィンチ・プラチナ本から。その後、書評での賛辞も複数見たし、否が応でも期待が高まっていたもの。奇しくも直木賞発表のタイミングで読むことになり、『これはもう、本作が取っちゃうでしょ』と確信的に思ったけど、なんと、受賞ならずでした…。さておき、それで本作の素晴らしさが減じる訳もなく、前に読ん...続きを読むだ著者の作品より格段にリーダビリティも高く、これからのご活躍にも期待が持てようというもの。見えない保己一と周りの温度差も、視点人物の変更で適宜描かれていくんだけど、その濃淡の書き分けがまた秀逸で、同情一辺倒に陥りがちなところを、そうしていないのもお見事。凄い作品だな。
著者の作品を読むのは『化け物心中』『おんなの女房』に続いて3作目だが、本作はこれら過去作を大きく上回る、掛け値なしの傑作だ。 江戸時代に実在した全盲の国学者・塙保己一を主人公に据えた作品で、目が見えないことで視覚以外の感覚が研ぎ澄まされて天才への階段を登っていった、といった分かりやすいサクセススト...続きを読むーリーを前面に押し出さなかった点にまず好感を持った。そのうえで「見えない」ことによって引き起こされる周囲の人間との軋轢・勘違い・ズレがとても面白く、不謹慎ながら第三章以降では何度も笑ってしまった。 主人公を聖人化せず、俗人的な部分にフォーカスを当てたうえで、普通の人間としての主人公の魅力を存分に味わうことができた点も素晴らしいし、ミステリの仕掛けのように各章の核となる出来事を表裏それぞれの視点で描いているあたりも、物語に深みと奥行きをもたらしていて良かったと思う。 文章について、過去作は読みごたえはあったものの、読み解くために必要な想像力が自分のキャパ以上に要求されている感じがしていて、実は少し苦手意識を持っていたのだけど、本作に関してはどういうわけか非常に読みやすくなっていて驚いた。 単なる作品との相性なのか、慣れただけなのかもしれないけど、失礼ながら『化け物心中』を最初読んだ時は、ニッチな読者は付くかもだけどメジャー級になるのは難しいかな、と考えていたので、短期間でまさかここまでリーダビリティの高い作品を書くようになるとは思わなかった。蝉谷さん、過小評価しちゃってごめんなさい。これからも付いていくので許して!
盲目でありながら苦労して、学問で身を立てた人の成功譚…という単純なものではなく。 見えないけれど察せる心眼があるばかりに必要以上に崇められたり、でも結局は見えないから機微が感じられなくて自分の価値観だけで人を苦しめたり。 特別扱いはされたくないけど、認めてほしい。 いろんな葛藤が渦巻いていて、結局は...続きを読む見えようが見えまいが、人を察するのは不可能に近いという。 良かれと思うことが、他方にとっては騙されたと感じたり、迷惑だったり。いつの世もそうですよね。 聖人からたまーに漏れ出る本音が、よかった! そして、「見えない」を使ってたまに純真無垢な感じになるところが、若干あざとくて面白い。 初読の作家さんだったのですが、読ませますね⭐︎ 面白かったです! この本も、少し寝かせて再度したい深い本でした。
こういう時に書ける言葉を持っていない。 \わぁぁぁぁぁー!!/感震 と、Clickしたら音声でそのまま、 聴こえるならば少しは伝わるだろうか? ◇◇◇◇◇◇ 【タイトル】見えるか保己一 【 著者 】蝉谷めぐ実 【 出版社 】角川書店 ◇◇◇◇◇◇ 読み終わって、精神消耗が激しかった。...続きを読む どっと、疲れたというか、走りきった後のもう無理。って倒れ込む感覚と爽快感。 言葉を選ばず言うなら、 『すげぇーーーっ!!』 と、鳥肌たち、心臓というか胸のあたりというかが痺れる感じで満たされる。 ◇◇◇◇◇◇ 一人の人の人生を 同じ強度で歩んできた。 痛みも、 当人から見えぬ裏の歪みも、 一緒くたにくらって。 それでも、 その生き様が静かに熱くて、 目の前が真っ赤に染まった。 ◇◇◇◇◇◇ 記したい言葉、 話したい部分はあるけれど、 まだ読んでない方も多いだろうから、 今は口を秘しておこうと思う。 ◇◇◇◇◇◇ これは、保己一の人生だから。 最初から最後まで読み通して、 同じように生きて、 感じてほしい。 それだけ重たくて厚い必読すべき『人間』の物語です。 -------------------------------------------------------------------------------------- 辰之助の目が悪いのなんて、や次郎の背が低いのと茂吉の手先がぶきっちょうなのと、なんも変わりゃあしねえのさ 蚕の糞ほど小さくて、悪意ともいえぬほどの何か 目が見えぬのは足が遅いのと同じこと 私はあなたのそばに少しでも近づきたくなってしまった この世には言葉に一つも必要としない繋がりというものがあるのでございます この世にあるものはすべて目に見えぬものこそ、言葉にできぬものこそ素晴らしいのございます 風が吹き続けてその先にある、己が繋いだ未来が、見えるか保己一 正しく見えるものなんてこの世に何一つありゃしねえんだよ! 目明きも盲も一緒さ。どちらであっても何一つ見えちゃいねぇのさ だけどときには好きに見させてやってくれ。それで救われる者だっている。
保己一を、ただ聖人として書いていないのが良かったです。 綺麗な上澄みの部分だけでなく、濁った澱まで欠かさず描ききった作者の技量に感服しました
この手の話って、聖人君子のように描かれがちだけど、そうでない場面もしっかりあるのがよい。前半は保己一の語り、中盤はとせ子。ラストは輝ちゃん。 保己一は学者としては素晴らしいけど、私生活では周りの女の人を一切幸せにしないタイプよね。お丁の愛憎がほんとに痛々しくって。とせ子は、その後どうなったんだろう...続きを読むか、とか。イヨもそう。 金十郎は…なんだかんだで信を得たのかね。
偉人伝のような、歴史ミステリーのようなお話でした。各章のタイトルに2つ意味がある(橋と箸みたいに)のも、見える見えないの2面性という意味なのかなーと思った
秀逸!見えることと見えないことの行ったり来たりをぐるぐるめぐる螺旋に放り込まれたかのよう。全体を貫く独特な調子、一概に心地よいとも言えないんだけどなんだか心を掴まれて離れがたい。蔦重のドラマにもあった検校周りの制度や粋な江戸文化、洗練された学問などの時代背景も丁寧に描かれる。最終章、圧巻!見えていた...続きを読むもの、見えてなかったもの、人生の終盤に明らかになるもの、隠し通すもの、もうミステリーと言ってもいいぐらいにスリリングで全てがひっくり返るほどの衝撃で、でもそれを収束させるラストがまたあたたかくて。盲と目明き、心にしろ目にしろどちらも本当のところは見えてない。それなら人は何を信じて生きていけばいいのか。幼馴染が悔し紛れにヤケクソで放った一言がずっと保己一を支えたように、信じたいものを信じる自分自身を信じて生きていけばいいのだ。障害を乗り越えて大きな功績を残した盲の賢人と彼をめぐる周囲の人たちとの葛藤や絆…といった聞こえのいいありきたりな物語にとどまらずに、見えない者と見える者、見えない物と見える物をこれでもかと描き尽くした力作、これはもう受賞だろう…
凄いものを読んだ。フィクションだと思い込んで読み始めた。実在の人だったとは。 途中、語り手が代わり、違った視点から見ることになる。悪意があると思った人の心情が分かったりする。結局みんな、お優しい。幼なじみも最後はお優しい。 考えたのは、障害を得るということ。見世物小屋に立ったり、検校に入門したり、...続きを読むお福さまになったり生きる道はあるけれど。カタワだからといって人として劣っているわけではない。障害者にも、明るい人、僻みっぽい人、大胆な人、ビビリ、思いやりのある人、いろいろいる。白そこひなど今では手術で治っちまう。昔は障害でも今は違う。 保己一は目暗だけれども偉くなった。目明でも偉くなったろう。なら、障害は成功することに関係あったろうか。見えていたらもっと何かを成し遂げたのだろうか。 多分。一度聞いて覚えちゃうなんて、アスペルガーだったんだろうな。そして、空気が読めない。だから素直だよね。 ホキイチ凄いよ。
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