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中学の国語教師・檀(だん)は、猫を愛する奇妙な2人組の小説原稿を生徒から渡される。さらに檀は他人の明日が少し観える力を持つことから謎の集団とも関わり始め……。作家生活20周年超の集大成。一大エンターテインメント長編!《解説・大矢博子》
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Posted by ブクログ
他人の未来が見える教師がいる。 生徒が書いた小説を添削し 生徒を新幹線事故から回避させ わけのわからんサークルに監禁され わけのわからんハンターに翻弄され わけのわからんニーチェに励まされ 過去の後悔を払拭しようと必死になるお話。 メインの登場人物はコイツら [国語教師] 壇 千郷 (だ...続きを読むん ちさと) [ハンター] ロシアンブル (ろしあんぶる) アメショー (あめしょー) メインはどっちだ? 両方やな。 どこで切り取っても、両方が主役。 ちなみに、 この2名のハンターの雇い主は“猫ちゃん” 猫を虐待して喜ぶ連中を “猫にかわってお仕置き”するという任務。 月にかわってお仕置きよっ! 『ごめんね。素直じゃなくて』夢の中なら言える。 猫虐待者は主張する。 『虫を殺しても罰せられないのに、 なぜ猫を痛めつけると大騒ぎされるのか』と。 虫<猫...? 命の価値に等しさは無い...? 生を奪う行為の善悪はTPOで異なる...? 猫アレルギーですけど何か? こんな話題が持ち上がると、往々にして、 『なぜ人は人を殺してはいけないのか』と 言い出すヤツが突然わいてくる。 確か、 似たようなテーマが他の伊坂作品でも取り上げられていた気がする。 『なぜ人間は人間を殺してはいけないのか』 法律で そうと決まっているから。 罪になるから 罰せられるから。 どうして? その作品の中では 「なるほどそういう回答もあるのね」と うまく“いなしてた”場面があったんやけど、 それが一体何の作品だったのか... わたしは思い出せません。 各自で復習しておきましょう。 要するに、 猫ちゃんも虫さんも生き物なんだから 命を大切にしないとね。 実家で遭遇する”あの虫”でさえ、 命ある生き物だからね、一応。 そう。 恐竜時代よりも以前からご活躍されている、 人間よりも大先輩である”あの虫”さん。 彼らはいつもアポ無しのサプライズで現れ、 私たちに、こう言う。 ゴキげんよう、おひさしブリ。 滅! しね! 駆逐してやる! 2億年前に遡って滅ぼしてやる! 刺し違えたとしても息の根止めてやる! ...大変失礼しました。 でも、 伊坂作品には意外とゴキブリさんが出現します。 【密使】とかね。 ハンターのロシアンブルとアメショーは “お仕置き”をする人間に対して、まず、 “ルワンダ虐殺”について語り出す。 ルワンダ虐殺とは、 東アフリカのルワンダで1994年4月から 約100日間続いた80万人大量虐殺のこと。 単なるラジオ放送が人々を煽動し、 狂気に洗脳していった事実について触れているけど、 伊坂さん本人は、作中でのバイオレンスな描写は避けているように思う。 苦手なんやろな、痛そうなのが。 だから本作も、 ハンターによる“血肉が迸るような”えげつないはずのお仕置き描写も、マイルドに抑えられている気がする。 ハンターの(依頼人の)スタンスとしては、猫が虐待された状況と同じやり方で、 虐待者をお仕置きしているらしい。 猫が受けた痛みをそのまま。 目には目を、歯には歯を。 凶器や方法についてもそう。 『刃物でメッタ刺し!』とかエグいのではなく、 ふとももに熱湯をかけたりとか、 クラッカーロープ(ボーラ)なる武器を使って 殴ったりとか、縛ったりとか。 ちなみに、 ボーラは東南アジア発祥の武器らしい。 日本でも分銅鎖と呼ばれ、 『忍たま乱太郎』では微塵(みじん)という名称で登場している。 微塵使い『竹谷八左ヱ門』 次に、 この物語のもうひとりの主人公 “壇先生”のステータスについて、 ポケットモ◯ンスター風に紹介してみよう。 [名前] 壇 千郷(だん ちさと♂) [分類] 国語教師 [タイプ] エスパー ゴースト [進化] しない [色違い] 段田さん [効果ばつぐん] ゴースト×4 あく×4 監禁×10 [効果いまひとつ] ノーマル無効 かくとう無効 ニーチェ無効 エスパー×0.5 どく×0.5 [特性] 胃痛 [隠れ特性(夢特性)] 先行上映 [覚える技] たいあたり ヘディング 感染 [説明] 国語を専攻しており 選考試験によって先公となる。 先考から受け継いだ閃光による先行上映を特技に持つ。 そう、 [特性]と[技]のステータスにもあるように この物語を弾ませているのは壇先生の特殊能力である。 他人の飛沫や唾液を体内に取り込むことにより、自分を感染させる。 感染翌日、感染源の人物の視点で見られる未来の光景が少しだけ映し出される。 これまた、おもしろ能力を持つキャラを発想しましたね伊坂さん。 そういえば昔、 キラキラネームが流行り出した頃に 『光宙=ぴかちゅう』と命名された子供が いたとか、いないとか。 オーキド博士もびっくりやで。 そんな壇先生の悩みは、 誰かの視点で未来が観えてしまったからといって、 自分にはそれをどうにも出来ないこと。 どうにもならない事はどうにもならない。 同じ能力を持つ父親は 『できるだけ気にするな』と言うが、 そもそも 『気にするな』と自分に言い聞かせている時点で 既にしっかりと気になってしまってるわけで。 どうにもならないと頭で理解していても、 過去を振り返ってしまうわけで。 『やっぱりあの時どうにか出来たのではないか』 と過去の自分に苛まれる。 そんな壇先生の悩みを知ってか知らずか、 アメショーは言う。 『主人公はさほど心配する必要はないんですよ、もう決まっちゃってるんですから』 『ページの先は、何回読み直しても同じストーリーなんだから』 なるほど。 結末は既に決まっていて、登場人物はチェスの駒のように“誰か”の意思によって配置されていくだけってか。 成海彪子が語り出すターンでは、 いつ、どの場面で、誰に向かって話してんのかな?と思いつつ、 この後の展開にそれがどう繋がっていくのか、 わくわくしながら読める。 そして、 そのターンの現在地と時間軸が重なり始めると 布藤鞠子の自作小説と壇先生のいま現在が 『別の世界で起きている無関係な話』ではなくなる。 ...おもろ! ぼんやりとしていた、諸々の騒動の縁取りが見え隠れする頃には、 まんまと【ペッパーズ・ゴースト】の世界にハマり込んでいた。 そして物語は合流する。 水源の異なる支流が1本の激流に繋がる。 ロシアンブルとアメショーが 『隠れていた家族には気付かなかった』とか、 布藤鞠子から友人への 『怖い、助けて』というメッセージによる “伏線”で、 布藤鞠子が書く小説の真実を察した読者は強者やな。 そういうプロットに、ごく自然に気付くのは構わないけど、 わざわざ根掘り葉掘り考察しながら読書したくないけどね笑 まさに 事実は小説より奇なり。 そもそも、 作品名の【ペッパーズ・ゴースト】ってなんすか? 胡椒ですか? 胡椒で、へっくしゅん? くしゃみで幽体離脱(ゴースト化)して、 予知夢を見てしまう壇先生の能力のことを表しているのか? わからない言葉はWikipedia 先生に教えを仰ぐ 壇先生を監禁した“わけのわからんサークル”というのは、 テロの犠牲者遺族の皆さんでした。 復讐したいだけのやつもいれば、 爆死して人生を終わらせたいだけのやつもいる。 『こんなにちゃんと生きているのに。 もっとひどい目に遭うべき人間はいるだろうに』 やり切れなさは分かるけど。 ニーチェが唱える永遠回帰というのは、 人生の理不尽と悲劇が同じ順序で繰り返される事らしい。 もちろん喜びも繰り返されるらしいが、 『よし、じゃあ、もう一度この人生を繰り返そう!』 とは、ならんやろ笑 もっとわかりやすく説明してよニーチェさん サラッと“安藤潤也”と思しき人物がチラッと登場。 懐かしいなー 【魔王】やな。 莫大な資産を持ち、 カネにモノを言わせてハンターを雇った依頼人というのは 実は、潤也と詩織である可能性が高いな。 結局、新幹線脱線事故の真相はどう解明されたのか? 里見くんを何かしらの事故から回避させるという前振りは必要だとしても、 それは別に新幹線じゃなくても成立したわけで。 何故あえて新幹線か。 伊坂さんが新幹線が大好きやからしゃーないか。 あのカラオケ店で 壇先生が感染目的でサークルメンバーと3人で歌ったとされる1曲が何であったのか、 想像してみた。 きっと、 坂本九『明日があるさ』やな。 マイクリレーがしやすい曲でもあり、 明日が見えない犠牲者遺族にとっては前向きで、 明日が見える壇先生には打って付けの名曲ではないでしょうか! 布藤鞠子が執筆中の新作小説、 『誤注文の商品が結局全部役に立った大学生の話』 って、何それ笑 めっちゃおもしろそうな予感が止まらないんですけど。 もしかして、 わたしが未読の伊坂作品と既にリンクしているとか? ...まずいな。 積読(つんどく)を消化する時間が作れていない。 ...へっくしゅん! 壇先生、 明日わたしが読書しているか観てもらえますか?
壇先生の平凡だけど正義感が強い、そしてとんでもない能力を持ってるけどいろいろ面倒な要素が多いっていうのが物語に大きな魅力を与えていたと思います。ロシアンブルも結構好き。
これぞ伊坂幸太郎! って感じの心地いいリズムと展開で、読んでいて本当に気持ちいい。 これが本当に大好き。
面白かった。 久しぶりに伊坂幸太郎さんの小説を読んだけど、「これぞ伊坂幸太郎」と思える構成だった。 色々な視点からの話があり、それが繋がっていく。登場人物たちが出会うまでは「早く出会って」と思える内容で凄く面白かった。 出会った後も疾走感のある内容でよかった。 一人ひとりのキャラクター性も立っ...続きを読むていて、それぞれのその後が知りたくなった。 でも今回一番良いなと思ったのは「ペッパーズゴースト」というタイトル。最後まで読んだとき、このタイトルの深さを思い知らされて、思わず「すごい」と唸った。 ずっと持っておきたくなる1冊だった。
伊坂幸太郎らしい洒落た地の文と軽快な会話が気持ちよく読み進められた。 今日び珍しいくらいに真面目な、けれど自身の持つ特殊な能力を持て余している悩める中学教師の檀先生を中心にしてあちこちから問題が集まり絡まってきて、まさに芋づるという感じなのに、その問題が綺麗に纏っていくのが流石だなあと思う。 ネコジ...続きを読むゴハンターのふたりが関わってくるのが、彼らが「こちら」に来たのか、「こちら」の世界が「あちら」に行ったのか。まるで『はてしない物語』のような不思議な感覚になるのに、彼らの存在があまりに馴染みすぎていて彼らが去った後に彼らのモノローグがないことが却って不思議に思うほどだった。 とても面白かった。 ネコジゴハンターのふたりの物語と、布藤鞠子の新作が気になりすぎるのでスピンオフなどで是非出して頂きたい。
テンポの良い文章で読みやすかったです。考えつくようで考えつかない発想、登場人物たちの軽快なセリフのやり取りで文章が弾んでいました。
キラキラの表紙に惹かれて購入。 大当たりだった。面白かった。 作中作と現実の世界がリンクしてからの怒涛の展開が大好き。 解説でもあったけどテンポが軽快で、まさに“目で楽しい”文章だった。 この本、文庫化された時に書店で見かけて買おうか悩んだ末辞めて、しばらくしてからまた探したけど見つからず…。 も...続きを読むうあの綺麗な表紙の本には出会えないのかなと思っていた矢先、限定キラキラカバーに生まれ変わってまさかの再会! きっと私はこの本に出会う運命だったんだな〜と思いつつ、状況がなんだか作中のニーチェの思想と重なる部分があり。 そういう思い入れ込みで大好きな一冊になった! 伊坂幸太郎さんの他作品も読みたい。
面白い。 未来を見ることができる「先行上映」 アメショーとロシアンブルのやり取り 見えた未来とそれを変えるための行動
軽快、軽やか
登場人物たちの心情、経験の重さに対して、ストーリー展開が軽快。軽やかな読後感を得た。楽しく、一気に読めた。
#ドキドキハラハラ #共感する
他人の明日の体験を「先行上映」のように見てしまう不思議な能力を持つ中学教師。彼を軸に、猫を愛する殺し屋(?)や、事件被害者のテロ事件など、一見バラバラな要素をパラレル的に展開していく。 いつもの横にずらすような会話劇と、複数の人間の視点を交差させて描く伊坂ワールドの王道ストーリー。
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