ユーザーレビュー 全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記 松木武彦 旧石器時代・縄文時代・弥生時代・古墳時代それぞれにおける、人々の思想的な営みがよく理解できた。本書で扱う原始時代という時代は、文献資料がない時代ということで、古代以降の歴史と比べて当時の人々の理性的・人間的な部分を軽視してしまいがちな時代であると思う。しかし、そこには人間の理性の萌芽ともいえる「文明...続きを読む」が存在していたということを本書を通じて実感した。 原始時代人の理性のどのような部分が、今を生きる現代人と共通しているのかに注目していきたい。 Posted by ブクログ 全集 日本の歴史 第15巻 戦争と戦後を生きる 大門正克 本書は、1930年から1955年の25年間の歴史を、著者が聞き取りをした5人の人々の経験と照らし合わせながら考察する日本史の通史書である。 政治に目を向けがちだった戦中・戦後史に、庶民の人生を反映させることで、当時の時代背景がよく理解できた。 本を読み、史料を読み解くだけでは分からない、聞き取り...続きを読むによる歴史の検証法は、戦中・戦後史を探求する上で欠かせない方法であると実感した。 戦後75年以上が経過し、戦争経験を語る人々が少なくなりつつある現在、聞き取りという方法はますます重要度をますように思う。 聞き取りとは、ただ聞けばいいというものではなく、戦争を知る経験者と戦争を知らない聞き手とが相互に立場を理解することが大切であると学んだ。 Posted by ブクログ 全集 日本の歴史 第9巻 「鎖国」という外交 ロナルド・トビ 「鎖国」というカッコ付きの表現が使われるようになって久しい。江戸時代の日本は実際には国を鎖ざしてはいなかった。ではなぜ鎖国という概念で江戸時代が語られるようになったのか? 実態はどのようなものだったのか? 朝鮮通信使を利用する幕府、海外の情報収集に熱心な幕府、吉宗の輸入品国産化プロジェクト、異国人に...続きを読む対する認識、通信使の受容のされ方、異国からも見える富士山というフィクションが庶民にまで広まった事情などなど、どの章も実に面白い。江戸期の対外交渉を知る入り口となる一冊。 Posted by ブクログ 全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記 松木武彦 考古学者である著者が、ヒトの確かな足跡が発見される旧石器時代から、巨大古墳が築かれる5世紀までの4万年の日本列島の歴史を文字の記録に頼らず、物質資料のみで描いた大作。 何より新鮮だったのが、歴史科学の再生において「認知科学(ヒューマンサイエンス)」をベースにし、人の心の普遍的特質から人の行動を考古...続きを読む学的に説明しようとした点。文字のない「物質」と「人の心」から読み解く考古学の世界は、自分が想像していた以上に惹かれるものであった。 無文字社会の人、もの、心のあり方とは?そもそも宗教というものはあったのか?日本という国はどうやって形成されていったのか? こういった素朴な疑問に対し、なんらかの新しい発見がきっと見つかるはずである。 架空の存在への信仰、美、芸術に満ちた世界。 5万年前も今も変わらない、人間の本質というものに気づかされる。 <以下引用> 考古学研究者が「画期」「革新」などと呼ぶような変革の多くは、実際には何十年も、何世代もかけて徐々に進んだ小さな変化の積み重ねであることが少なくない。このような小さな変化の積み重ねこそ、歴史が動くメカニズムであり、そこに人類史の本質がある。 Posted by ブクログ 全集 日本の歴史 第1巻 列島創世記 松木武彦 文字による記録がほとんどない5世紀までの日本古代史について書かれた本。 文字資料がない、つまり物質資料しかない時代における社会のあり方や人々の心を読み解こうというのが、本書の趣旨となる。認知考古学という学問があるというのを初めて知った。読み物として非常に面白い。まさにこんな本を読みたかった。 た...続きを読むとえば。地球が寒冷化した時期には無個性なツルンとした土器が増える。なぜか?寒くなると食料が得にくくなるため、同じ場所に定住するのが難しくなる。結果、人の移動が増え、文化の交流が生まれる。これが土器の無個性化に繋がった。。。 面白いけど、推理ゲームの感はある。その説の裏づけとなる証拠を見つけるのは難しそうだ。同じ物的資料からでも、研究者ごとにバラバラな結論が出そうな気がする。 Posted by ブクログ 水本邦彦のレビューをもっと見る