下巻は、戦前日本(ファシズム)、インド(議会制民主)、理論まとめ。
日本については、プロイセン=ドイツとの対比も交えて語られる。ドイツのユンカーほど強制的なアクターはいなかったにもかかわらず、元々の協業の必要性と(村八分などの罰則も含め)統制の強い社会だったために農村部の権威(地主)と社会構造(隣組
...続きを読むなど)が温存され、農本主義→ファシズムへ進んだという話。ちなみにユンカーについては、先行して産業化した外国への輸出という誘因があったためにイギリスと違って農奴を得る方向へ進んだというような説明。
インドについては、この本が書かれた時点ではプロセスが完了してないって気がするので話半分で読んだ。カースト制度が文化と社会体制のタイムカプセル化みたいに働くっていう指摘は他でも読んだことあるな、ってくらい。
理論まとめは、これまでの総括と留保など。農本主義的な考え方が古代からあったという指摘(カトー主義)。とはいえ、産業化が進むと現実的には維持不可能で最終的には淡い郷愁のような残骸になると著者は想定している。そうだろうか?「科学の知見やグローバルな価値観を否定して土着の価値や手に持つ仕事をもてはやす」、それって最近アメリカで流行っているやつではないかしら、などと思った。