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あなたが本書を手にすることは、138億年前から決まっていた。――心理学、生理学、脳科学、量子論、人工知能、仏教、哲学、アート、文学、サブカルを横断し、世界の秘密に挑む。気鋭の心理学者による“トンデモ本”。
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Posted by ブクログ
自由意志について あくまで著者の仮説 「心理学的決定論」 この世の全ては事前に確定しており、自分の意思は幻影だ。 “我々は意志の力では生きていない。脳と環境の相互作用によって、自動的に体を動かされ、全て事前に決まっているプログラム通りに反射を繰り返しているだけだ。意志で作っているように見えても...続きを読む、全ての行動は環境からの刺激に対する、反射なのである。53 “意識とは情報であり、生命とはその情報を増やすために配置された「なにがしか」(存在)である。この世界の本質は情報なのだ。276
著者の言う通り、専門外の分野を渉猟した結果のエッセンス。すべては心理学的決定論に通じざるを得ないとする結果。研究者としては実績というよりは、読み物の体になるだろうが、この本を著してくれたことに感謝したい。おかげで自分の関心、意識とはなんだろう?にたいする、一つのアンチテーゼとして考えるものができた。...続きを読む「なぜ未来に対する決意、意思によって今までの延長線上とは違う未来に変わることをも(事前?)決定論とするこの考え方は、受け入れ難いのだろう?」 著者が調べた範囲の分野は以下、脳神経科学は『脳と時間』で、エントロピー増大則(熱力学の第二法則)に通ずる物理学はカルロ・ロヴェッリ教授の『時間は存在しない』で等々、通じるものをある程度確認したし大部分納得もするが、やはり意識、その前提にある決定とその直後の行動に必然性を設けるとする点で、無理を感じる。 3章にて、AIも原意識のようなものは持っていてもおかしくないとあるが、しかしその判断、決断過程はブラックボックスだともある。 我々の言う「自由意志」は、AIでいうブラックボックス部分という、判断、決断に至る過程の不透明さのことを、統御可能な文脈で名づけた名前だとも言っているが、そこには決断→結果としての行動という、決断から結果への一意性が規定されているように見える。ちなみにここで言う決断は、人間の意志として下した認識のある決断(意識)のみを指すのではない。ある行動(静観するなどの受動的態度も含めた、全ての行動。人間や有機物に限らない、量子単位にも含まれる)、結果を起こす前の「原因となるイベント」要素のことを指している。少なくとも著者の言う文脈では、決断はこの定義になると思われる。 なお決断の範囲が一意解でなく、中間点を持つバリエーションなんだよと言えば、中間解が存在する上での態度=中動態の議論になってしまいかねず、そこにも著者の残した議論の可能性はあるが、私が問いたい議論の本質はそこにはない。 ロヴェッリの唱える量子ループ重力理論によると、そもそもすべての存在対象は、(少なくとも量子レベルでは)場、重力場を持ち、その重力場の指し示すベクトルは一様でない、バラバラのはずだとある。ベクトルが異なるのであれば全ての存在対象において一様な、一方向の順序は存在しないことになり、ひいては一様の時間は存在しないことになる。我々が一般に使う時間とは一様な時間のことであるはずだから、その意味において「時間は存在しない」となる。 そうであればある決断をしたからと言ってその後に起こる行動、または結果も一様ではないはず。著者の言うブラックボックスは、判断、決断過程だけでなく、一意に定まる結果にまで適用されるものであり、因果論を前提としているとも言えそうだ。そうでなければ全てのことが決定しているとする決定論は取れないはずだ。なお、同じロヴェッリの『時間は存在しない』には決定論的な考え方が存在する物理世界は、ブロック宇宙と呼ばれており、著者の言う心理学的決定論は、ブロック宇宙論に立てばこそ生まれる帰結だと捉えている。 ループ量子重力理論が絶対の真理かはまた別としても、少なくとも心理学的決定論以外の結論に至る反例にはなっているし、何より私にとってはこちらの方がしっくりくると捉えている。 私のしっくりくる点をより明確にすると、現在や過去に経験した内容、思いを糧として、将来に向けて立てた決意や意思は、自分にとって全く未知な結果に至るかもしれないが、その既知でない点、未知であることそれ自体が、ワクワクを駆り立てる希望になる。心理学的決定論だとしても、我々がその結果を予知できないだけで同様に未知であること、ワクワクを駆り立てることは体験されるものだなどと言われそうだが、自分の把握してない大枠とはいえ、何者か(決定システムのようなものであっても)によって決定されている結果それ自体が存在すると考える「決定論的結果」には、初めから絶望的結果、または状況に対する「諦め」を期待しているような気がしてならない。何より自分の下した決断への後悔、落ち込みを避けたい、言うなればセーフティネットが欲しい、という隠れた意志が見えるように思われた。そう考えればワクワクを指向する人は、自分の思考、判断、決断するバックボーンとしての「思考フレームワーク」にそれをわざわざ選択しないと、心理学的決定論への当初の違和感、当初の問いに対して、解が得られたように思えた。 人は自分の見たいものしか見ていないとは、脳神経科学で唱えられて久しい。この本を読んで心理学的決定論を受け入れる、選択する上での心理的素地が垣間見えたし、自分はどうせ見たいものを見るなら、上述のような未知へのワクワクを肯定する論に立ちたいし、そのワクワクを享受するに当たっての、選択責任を自分に引き寄せたいという、自分の見たいもの、指向するものに気づかせてもらった。無論、著者を否定する意図は一切ない。良い論証に出会えたからこその良い気づきを得られた。 2022/1/6 追加 p.276(p.285にも)にあるこの本の結論(以下「」部)に対する感想。 「意識とは情報であり、生命とはその情報を増やすために配置された『なにがしか』(存在)である」 全ての観察は視点がありき。視点による、その後の決定に至る判断や時々の考えにおける「偏り」は避けられない。 意識とは情報と言い切れない。生物は単なる入れ物でない。生命体が生化学的に統御できる肉体を持って行動する場合にはエッジと司令部である脳や脊髄は主従関係にない。それぞれから受発信があるし,全体のネットワークで意識と呼べるものを感じているだけ。 かたや反するものとしての機械は、司令部とエッジは主従関係にあるはず。ノイマン型コンピュータはそうである。言い換えると中身がスイッチ回路と論理オートマトンであればそうである。司令部もエッジも自律閉鎖形である機械は定義からして不可能。自律閉鎖形風の機械は可能。その自律閉鎖形風の機械で、全体としてのネットワークを持ち、そこで立ち上る意識を持つことは出来そうだが、やはりそれも機械であり、外部からの何らかの恣意的な操作は可能であるし,その機械そのものに責任を持たせるには、その外部操作性が決定責任者としての所在を許さない。と我々は生命体である事に決定責任者としての拠り所を持つ。
いや、これは面白かった。心理学というより哲学寄りの本。 説得力のある考察ではない、哲学本というには浅い。しかしこの本は熱い、文章に熱がこもっている。トンデモ本の極北。素晴らしい。
好きな人は好き 生き物は基本ソフトウェアに環境の影響を受けて成長するとしたら、将来にわたるまで、結果が決まっているのでは?という感じですかね。 まあそうとも言えるし否定は難しいですね。
本書は、書店で見かけてタイトルに惹かれて購入した。『未来は決まっており、自分の意思など存在しない。』私がこの本を手にとって購入することは、すでに決まっていて、私の意思など無かったの?なんて思いつつ手にとったのを覚えている。書籍の帯にも「あなたが本書を手にすることは、138億年前から決まっていた。」と...続きを読む書いてある。もう何がなんだか、確かめずにはいられなくなって気がついたら購入していた。のかな〜 著者の思考の軌跡をたどっていき、タイトルのような考えを持つようになったのかを証明するような一冊だった。著者の思考についていくのは結構たいへんで、多くの分野の哲学・思想を読み解きつつ結論に導く旅は、険しく、危険に満ちている。 とはいえ、どれも興味深く読みすすめることは苦にはならなかった。 私たちの未来は、決められたレールの上をただ進む状態で、自らの意思や決めた(と思っている)こともすでに確定されていたという世界だったら、皆さんどう思います?簡単には信じがたい考え方だが、もしも、それが万物の真理だとしたら? こんなことを考え続けることなど今までは無く、とても貴重な体験ができた。 また、本書には映画や漫画、小説等多く引用されており、それらの作品にも興味をひかれる。読みたい本や漫画、観たい映画がいくつもあり積読本、漫画が増えそうで怖い。そういう意味でも、危険な本だ。 近いうちに再読をしたい。
タイトルを見て、そんな考え方もあるんだ!面白いと思って読んでみたところ、確かにそうかもしれないと8割方信じさせられた。 剣道で面を素早く打つとき、打とうと意識する前に、脳と体が勝手に先に動いている。野球で速い球が打てるのも同様。打とうと思ったのは幻影であって行動に影響は及ぼしていない。 人間もA...続きを読むIと同じで、環境からの情報を元に条件反射的に行動させられているだけ。AIの選択を人間にわかるように説明することができないブラックボックス問題と同じく、人間も膨大な情報のやり取りを自分で全て理解できないため、行動に自由意志があるという誤解、幻影が生じる。 やめようと思っても薬物やアルコール中毒の人がやめられないのは、脳が意思より先に動いてしまうから。親の虐待を受けた子が次世代の子に虐待する確率が高いのは、成長過程で脳に損傷を受けたからかも知れない。というのは本当に有り得そうだと思った。 発達障害のある人は相対的に功績を残してきた人が多い。少数派の人は生きづらい世の中だけれど、自分で意識をコントロールして行動を変えるのは所詮無理なのだと思うことで、つらさが少し和らぐのではないかと思う。
心理学的決定論が真理かどうかは分からないが、 とても面白かった‼︎ この考えに立った時、世の中の多くの問題は議論する意味すら失ってしまう。そういう意味で根源的だなと感じた。 チルチルミチルが探した青い鳥は結局自分の部屋にいたように。
難しいけど面白かった。この世は不思議な世界。初めから決まっている。そんな気もするし、それが本当かもわからない。神とはなんであるか。意識とは情報であるのか、真実がなんであるかわからないように巧妙に作られているのかもしれないし、そうじゃないかもしれない。 曰く不可解。眠くなって来た。
この世界のシナリオはあらかじめ決められていて、私たちは外界の刺激に対して決められた反応をしている。我々人間は意識レベルが高度であるため選択肢を与えられているように錯覚しているが、これが自由意思があると思わせる神が与えた罠である。 意識とは情報。これが結論としている。 私たちの見ている世界は私たちの...続きを読む脳内で電気信号として構成されており現実と妄想や夢との区別は曖昧で、頭のなかにあるもの全てが現実である。 いまの生活も、これを書いている私も、私の文章を読んでいるあなたも、年老いた自分が夢を見ている若き日の自分である可能性もあり、その可能性を否定できる証拠はどこにもない。 この理論の魅力的なところは、自分=世界であるから、何をしている自分も宇宙の一部として認められ、尊敬するあの人もぜんぶ自分の一部であり、人と比べて自分は劣っているとか狭い視野で物事を考えることから解放してくれるところである。
『トゥルーマン・ショー』を観たことがなくとも、自分だけが世界の主役なのでは?という問い。存在や実存の不可知性。心理学、脳科学、哲学など学際的な知見を横断しつつ、本著が提示する「意識とは情報である」との結論は説得的であり、脳みそがぐらっぐらする。
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