〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く

〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く

1,430円 (税込)

7pt

4.0

ジャーナリズムで、また学問の世界でも普通に使われる用語、「イスラーム世界」とは何のことで、一体どこのことを指しているのだろうか? ムスリムが多い地域のことだろうか、それとも、支配者がムスリムである国々、あるいはイスラーム法が社会を律している地域のことだろうか。ただ単に、アラビア半島やシリア、パレスチナなどの「中東地域」のことを指しているのだろうか? 本書は、高校世界史にも出てくるこの「イスラーム世界」という単語の歴史的背景を検証し、この用語を無批判に用いて世界史を描くことの問題性を明らかにしていく。
前近代のムスリムによる「イスラーム世界」の認識、19世紀のヨーロッパで「イスラーム世界」という概念が生み出されてきた過程、さらに日本における「イスラーム世界」という捉え方の誕生と、それが現代日本人の世界観に及ぼした影響などを明らかにする中で、著者は、「イスラーム世界」という概念は一種のイデオロギーであって地理的空間としては存在せず、この語は歴史学の用語として「使用すべきではない」という。そして、地球環境と人類史的視点から「新しい世界史」を構想し叙述する方法の模索が始まる。
本書は刊行当時、歴史学者・イスラーム学者の間に議論を引き起こし、アジア・太平洋賞特別賞を受賞した。文庫化にあたり、原本刊行後の議論を踏まえて「補章」を加筆。〔原本:『イスラーム世界の創造』東京大学出版会、2005年〕

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〈イスラーム世界〉とは何か 「新しい世界史」を描く のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    【いずれにせよ大事なことは、まず同時代の存在として「イスラーム世界」という空間概念が創造され、その歴史は後から作られたということである。まず枠組みがあり、その枠組みに合うような歴史記述が求められたのである】(文中より引用)

    普通に使われることに違和感を覚えることも少なくなった「イスラーム世界」とい

    0
    2021年10月28日

    Posted by ブクログ

    あたりまえに存在すると思われてきたことを疑うのは、とてもエネルギーがいる。ましてや、それが今まで自分がよって立ってきたものの一部だったとすれば、なおさらである。

    本書は、そのようなことを、「イスラーム世界」という事象を相手に取り組んだ本。筆者も含め、これまで無意識・無批判に使用されてきたこの枠組み

    0
    2021年06月13日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

     本書は2005年に刊行された「イスラーム世界の創造」の改訂文庫版である。
     イスラム教やムスリムを語る際、安易に、ひと括りに「イスラーム世界」と表現しないよう注意を促している。
     「イスラーム世界」という語は、①概念としてのムスリム共同体(ムスリムが理想として頭に描く実体を持たない理念的な空間)と

    0
    2021年03月05日

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