火定

火定

850円 (税込)

4pt

――己のために行なったことはみな、己の命とともに消え失せる。(中略)わが身のためだけに用いれば、人の命ほど儚く、むなしいものはない。されどそれを他人のために用いれば、己の生には万金にも値する意味が生じよう。(本文より抜粋)時は天平――。藤原氏が設立した施薬院の仕事に、嫌気が差していた若き官人・蜂田名代だったが、高熱が続いた後、突如熱が下がる不思議な病が次々と発生。それこそが、都を阿鼻叫喚の事態へと陥らせる“疫神(天然痘)”の前兆であった。我が身を顧みず、治療に当たる医師たち。しかし混乱に乗じて、病に効くというお札を民に売りつける者も現われて……。第158回直木賞と第39回吉川英治文学新人賞にWノミネートされた、「天平のパンデミック」を舞台に人間の業を描き切った傑作長編。解説:安部龍太郎。

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火定 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    2020/6/20

    すごいものを読んでしまった気分。

    新型コロナの流行を機に読もうと思ったあるあるパターンです。
    寧楽(なら)、つまり奈良時代の天然痘パンデミックもの。
    奈良時代の天然痘ともなると現代の新型コロナよりかなりエグい描写の地獄絵図が繰り広げられるわけですが、乱世

    0
    2024年05月19日

    Posted by ブクログ

    一気に読み終わりました。
    いやぁ、もう、言葉を失ってしまうほど激動の物語。
    人のなんと脆く強く温かいのでしょうか。
    コロナ渦の今だから、なお響いたのかもしれません。
    人の弱さ強さも生死も、全てが紙一重。
    この積み重ね、犠牲や痛みの上に今の我々があると痛感し感謝の念。
    医療従事する全ての方へ感謝。

    0
    2022年12月04日

    Posted by ブクログ

    コロナで闘う現代、もっともっと前の流行病のあった時代のお話。
    目に見えない敵を相手に人は優しくも愚かで弱い。

    0
    2022年10月12日

    Posted by ブクログ

    本の雑誌ベスト・歴史小説部門から。現パンデミックを見越したかのような内容。それもあって、元の物語の求心力が、自分の中で倍加されたみたいな感じ。たまたまだけどここ最近、奈良時代モノに触れる機会が多い、ってのもポイント。殆どキャラ付けもされないし、いわゆるちょい役なんだけど、子どもたちに与えられた運命が

    0
    2022年02月02日

    Posted by ブクログ

    舞台が奈良時代の都なので、正倉院宝物や平城京の様子を思い浮かべながら読むのが楽しい。コロナの時代を予見していたかのような物語で、面白かった。
    それにしても、マンガや小説だと光明皇后のことが全くよく描かれてなくてびっくり。

    0
    2020年11月30日

    Posted by ブクログ

    本作を敢えて一言で言えば「奈良時代を背景にした“時代モノ”の小説」ということにしかならないと思う。が、その「一言」に収まらないような、「憑かれる」かのように嵌ってしまうような側面も在る。
    余り経験も無いことであるが、本作に関しては「憑かれる」かのように夢中で読み進め、ふと顔を上げて、作中で展開してい

    0
    2020年11月23日

    Posted by ブクログ

    知り合いから勧められて読み始めたが一気読みしました。奈良時代の天然痘のパンデミック…
    今の時代にあまりにもリンクし過ぎて戦慄を感じざるおえない…
    医師の使命感…市井の人々…色々な思いやそれぞれの行動が交錯して一級の時代小説に仕上がっている。かなり読み応えがありました。

    0
    2023年03月05日

    Posted by ブクログ

    鎌倉殿と同世代に奈良では、こんなことがおこっていたとは!
    見る方によって 事実もいろいろな捉え方ができる。
    勉強になった

    0
    2022年07月31日

    Posted by ブクログ

    天平7年(735年)から同9年(737年)にかけて大流行した天然痘は首都・平城京(奈良)でも大量の感染者を出し、国政を担っていた藤原4兄弟も相次いで死去した。日本の政治経済や宗教が大混乱に陥り、後の大仏建立のきっかけとなる未曾有のパンデミックであった。
    本書はその混乱の中、病の蔓延を食い止めようとす

    0
    2021年08月07日

    Posted by ブクログ

    字が大きいので早く読み終わるかなと思いきや、人名や役職や物の名前などが昔風なので読みづらい。

    最初は文句ばっかりの兄ちゃん。疫病を通して色んな経験をしながら、「医者とは何か」「人の死の意味とは」みたいなことを考えるようになっていく。

    予想外の展開やどんでん返しみたいな盛り上がりはない。だけど話は

    0
    2024年04月20日

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