増補 責任という虚構

増補 責任という虚構

1,540円 (税込)

7pt

4.3

人間は自由意志を持った主体的存在であり、自己の行為に責任を負う。これが近代を支える人間像だ。しかし、社会心理学や脳科学はこの見方に真っ向から疑問を投げかける。ホロコースト・死刑・冤罪の分析から浮き上がる責任の構造とは何か。本書は、自由意志概念のイデオロギー性を暴き、あらゆる手段で近代が秘匿してきた秩序維持装置の仕組みを炙り出す。社会に虚構が生まれると同時に、その虚構性が必ず隠蔽されるのはなぜか。人間の根源的姿に迫った著者代表作。文庫版には自由・平等・普遍の正体、そして規範論の罠を明らかにした補考「近代の原罪」を付す。

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増補 責任という虚構 のユーザーレビュー

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    Posted by ブクログ

    一般的には自由と責任は表裏一体の因果関係であり、なので法や規範の判断の元になる自由意志によって罰される。

    ただ、人の行動は脳の信号を起点に人が意識を持つ以上、自由意志はないので責任はないはず。それにもかかわらず規範で人を罰する矛盾をつく。

    結局自由も責任も、社会が決めた虚構であり、自由意志みたい

    0
    2023年08月22日

    Posted by ブクログ

    本題は4章からだが、個人的には1.2.6章が1番面白く感じた。社会秩序というものがいかに根拠のないもので支えられていて、薄氷の上に成り立っているかという事がわかる。絶対的な神が消えた現代において法や道徳、自由、責任、これらのものを証明する根拠は存在しない。だが虚構は(たとえそれが虚構だとわかったとし

    0
    2021年08月13日

    Posted by ブクログ

    責任は、秩序を保つために必要な虚構である。決して、その当人に原因があるから罰せられるわけではない。罰するために、当人に原因があったと決めるのである。

    こういった「見たくないもの」を直視して社会のあり方を根本から問うことができる力は、早いうちに身につけておきたい視座だ。思春期にこれを読めば、もっと早

    0
    2021年03月29日

    Posted by ブクログ

    死刑制度は、誰もが責任を感じさせないシステムになっているからこそ、維持可能である。
    この指摘が、本当にショッキングだった。
     
    第1章で、ホロコーストは、高度な組織化のもと作業分担が行われ、責任が分散化することによって可能だったということを具体的かつ丁寧に論じた後、第2章(表題は「死刑と責任転嫁」)

    0
    2020年11月16日

    Posted by ブクログ

    べき論も倫理も道徳も「人間の現実から目を背けて祈りを捧げているだけ」の「雨乞いの踊り」にすぎない

    ブラックボックスの最後の扉を開けたとき、内部ではなく外部につながる逆転の位相幾何学
    虚構の物語

    近代における神の代役
    個人の内部に宿る「とされる」自由意志

    0
    2021年01月01日

    Posted by ブクログ

    正直長いし、読むのに時間をかけすぎた。むしろ尾崎さんの解説が端的にまとめられていてわかりやすかった。ナチスの実験はなかなかに興味深かった。
    責任が分散化されると所在が曖昧になる、というのは今も便利に使用されている。
    線を引きながら読んだので、時間をあけてから再読したい。

    0
    2020年10月23日

    Posted by ブクログ

    責任を根拠付ける自由意志は存在するのか、虚構とは何を意味するのか。著者は実証科学の知見に従いながら、丹念に規範論に挑戦していく。文庫版に補考が加筆され、著者の問題意識がより明確に示されたのは、本作全体を理解する上で大変助けになった。

    0
    2020年05月05日

    Posted by ブクログ

    責任は因果律と関係ない。設定されるもの。虚構であるということの記述。
    「自由とは因果律に縛られない状態ではなく、自分の望む通りに行動できるという感覚であり、強制力を感じないという意味に他ならない」

    0
    2022年01月19日

    Posted by ブクログ

    ネタバレ

    実験から導かれる結果では、人の行動は権威に弱く、同調圧力に流され、役割を与えられると演じようとする。さらに、意思決定以前に脳内では活動が始まっていることも測定されている。
    そこから自由意志を否定しながら、責任論を哲学的に考察する。禅問答のようになって当然結論は出ないのだが、そのままでは秩序ある社会は

    0
    2023年05月11日

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