タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源

■心は何から、いかにして生じるのだろう。進化は「まったく違う経路で心を少なくとも二度、つくった」。一つはヒトや鳥類を含む脊索動物、もう一つがタコやイカを含む頭足類だ。哲学者であり練達のダイバーでもある著者によれば、「頭足類と出会うことはおそらく私たちにとって、地球外の知的生命体に出会うのに最も近い体験だろう」。人間とはまったく異なる心/内面/知性と呼ぶべきものを、彼らはもっている。本書は頭足類の心と私たちの心の本性を合わせ鏡で覗き込む本である。■海で生まれた単細胞生物から、現生の頭足類への進化を一歩ずつたどれば、そこには神経系の発達や、感覚と行動のループの起源、「主観的経験」の起源があり、それは主体的に感じる能力や意識の出現につながっている。「タコになったらどんな気分か」という問題の中には、心とは何か、それは物理的な身体とどう関係するのかを解き明かす手がかりが詰まっている。■知能の高さゆえの茶目っ気たっぷりの行動や、急速な老化と死の謎など、知れば知るほど頭足類の生態はファンタスティック。おまけに著者が観察している「オクトポリス」(タコが集住する場所)では、タコたちが社会性の片鱗を示しはじめているという。味わい深く、驚きに満ちた一冊。

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タコの心身問題――頭足類から考える意識の起源 のユーザーレビュー

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感情タグBEST3

    Posted by ブクログ

    この本を読む前と後でタコの印象が大きく変わり、なんだか愛着を感じるようになった。すぐにでも生きてるタコを見に行きたくなる。
    心身問題について論じる本はたくさんあるけど、下手に哲学的なものよりも、この本を読むほうが有意義かもしれない。単に知識が増えるだけではなく、これから先の生き物との関わり方が変わる

    0
    2024年03月21日

    Posted by ブクログ

    タコやイカは知性が高いと言われている。進化樹の中でははるか昔に枝分かれした人類とタコであるが、異なる進化の中で神経系をそれぞれで発達させているのが興味深い。人間は脳で集中制御しているのをタコでは腕部にも脳のような機能があるなど、違いはあるもののタコにはタコの心があるようだ。また、もし異星人が存在する

    0
    2024年02月02日

    Posted by ブクログ

    著者は熟練ダイバーでもあるそうだが、「オクトポリス」でのタコに手を引いてもらった(と感じた)体験、ジャイアントカトルフィッシュという種のイカとの交感の描写が、実らない愛を感じさせ切ない。
    頭足類が地球上の動物の中で極めて特殊な位置づけの生き物であることに改めて感心。ボリュームあり読むのはちょっと大変

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    2023年01月15日

    Posted by ブクログ

    スキューバをしながらオクトポリスというホタテの貝殻に敷き詰められたタコ達の住処や生態を眺め、哲学や生物学の授業を受けているようだ。タコを擬人化してその知性を探りながら、読書中、私自身の意識は海底にある。ダンゴムシに心があると言われれば、それはこじ付けだと感想を述べながら、タコに知性があると言われれば

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    2022年12月25日

    Posted by ブクログ

    星10個あげたい!

    タコたちの楽園 オクトポリス
    この場所で、タコに「意識」が生まれる?!

    全てのものは、連続的である。
    人間が意識を持ち、言語を獲得したのも、
    偶然の連続であり、突然空から意識が降ってきた
    わけではない。

    タコは、人間と同じかそれ以上のニューロンを
    持つという。人間にできて、

    0
    2022年03月19日

    Posted by ブクログ

    『タコの心身問題』ピーター・ゴドフリー=スミス著、夏目大訳(みすず書房)なんだか色々煮詰まったので、タコに会いに。タコの本にジャズやカンディンスキーが出てくるなんて。笑 タコになったらどんな気分?というシンプルな問いから進化への深い問いかけへ。なんだか癒された。面白かった。

    0
    2020年12月07日

    Posted by ブクログ

    前半は面白いんだけど、後半は失速

    事実は小説より奇なり
    最終的な結論に至れていないのであれば、タコやイカの観測事実をもう少し詳しく話して欲しい
    そこから驚きが得られればよいのでは

    著者がそれに驚いた様子や驚いて抱いた発想などは、最後にちょっとまとめてくれればいい
    著者も人なので、タコの異世界感に

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    2019年07月07日

    Posted by ブクログ

    まず本書はタコメインではあるが同じくらいジャイアント·カルトフィッシュが良く出てくるので頭足類を主軸と捉えても良さそう。
    哲学者が書く、思考や知覚に焦点を当てた進化論の本でもあるし、タコなどの頭足類という不思議な生き物たちへの愛を綴る本でもある。
    本当にタコという生き物は面白い。あれだけ大きな目があ

    0
    2024年03月16日

    Posted by ブクログ

    驚いたことにタコやイカは色の識別ができないらしいのだ。どうしてあんなに周囲に合わせて色を変えて擬態したり、威嚇のために体の色を変えるのだろう。
    なんと、目による知覚で脳が指示するのではなく、皮膚細胞そのものが、周囲の色を感知して自律的に変化しているらしい。
    これは“多くの動物では、脳と身体が明確に分

    0
    2024年02月24日

    Posted by ブクログ

    タコの知性、なんて考えたことなかった。

    それが、読んでみて驚き!
    研究用に飼育しているタコが人の顔を一人ずつ記憶していて、嫌いな人がくると水をかける。
    水槽の中の電球をわざと壊して遊ぶ。
    食べ物でないものにも純粋な好奇心で近づいてくるように見える。タコの方から人間に近づいてきて,時には,探るように

    0
    2024年01月18日

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