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本来官能の子でありながら精神の人になろうとして修道院に入った美少年ゴルトムントは、若く美しい師ナルチスの存在によって、自分は精神よりもむしろ芸術に奉仕すべき人間であることを教えられ、知を断念して愛に生きるべく、愛欲と放浪の生活にはいる――。二つの最も人間的な欲求である知と愛とが、反撥し合いながら互いに引かれ合う姿を描いた多彩な恋愛変奏曲。一九三○年作。
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Posted by ブクログ
原題は『ナルチスとゴルトムント』。知と精神の世界に生きる師ナルチストと、愛と芸術の世界に生きるゴルトムントを描く。ゴルトムントは修道院に入って神に帰依するはずだったが、ナルチスの影響により、愛や芸術の世界に目覚め放浪の旅に出る。清く正しい世界を目指した者が愛欲に溺れ廃退していく姿に、正直戸惑いはあっ...続きを読むた。しかし、自らの意のままに強欲に生きる姿に不思議と羨望も感じる。人生とはなんなのか、人間の本来あるべき姿とはなんなのか、そのようなことをゴルトムントの姿に重ねながらじっくり味わえた作品である。
フォロワーさんのお勧めで読みました。知に生きる人ナルチスと愛に生きる人ゴルトムントの物語。物語はゴルトムントの生涯を追う形で展開されてゆきます。数々の女性達との愛の戯れ、あてどもなくさすらう日々。移ろう季節の美しさを目の当たりにし、または飢えと寒さに喘ぎ、芸術家てして才を開花させ、得た名誉によって定...続きを読む住するかと思えば人里離れて荒野を、森を、独り彷徨う。彼は目と耳と肌で人の生き様と死に様をありありと体感した。規律を守り、秩序の中で暮らしてるナルチスには味わうことのできないような形で生と死の神秘をゴルトムンは知ったのだ。修道院を飛び出して放浪の最中にあってもゴルトムンの中には常にナルチスがいた。本作においてヘッセの書きたかった主題は最後の5章ではないかなと思いました。特に感動的だったのはナルチスがゴルトムントと彼の芸術によって自分が豊かになった、ナルチス自身がいかに自分は貧しかったかを悟る場面。ゴルトムントの存在によってナルチスは己が体験できない全てのものを得たのだと思います。その人自身が愛だったのだと。素晴らしい作品でした。
これまで読んだヘッセの作品中最も刺激的。精神世界と肉体の交差点。ストーリーテラーとしてヘッセは退屈だと思っていたがこの本は緩急、静動あり、全く退屈しなかった。
すごく苦しく醜く深く美しいお話。 デミアンやおおかみはとっ散らかっているけれど、こちらはドイツらしく整っている。 腐女子さんやゴスロリさんにも読んでほしい。
たぶん高校生くらいのときに読んで、いま再読。 ナルスチ(知)とゴルトムント(愛)という対称関係は、ほかに「霊と肉」「理論と芸術」という対比にもなっていて、もともとけっこうヘッセの小説ってこういう対比がキッパリしていると思うのだけれど、本作においてはよりキッパリして実に小説らしい。 修道院にはいっ...続きを読むたゴルトムントは高い精神と信仰心をあわせもつナルチスに惹かれ、彼をめざして勉強にはげむ。しかしナルチスはゴルトムントとの間の埋められぬ境界に気付き、むしろお互い正反対の性質を持つがゆえに重大な存在であることを説く。 まだ若くたびたび混乱をおこし強情を張るゴルトムントと、彼に対し忍耐をもって理解を促すナルチス。ふたりの道を分かつことになると知りながら、ゴルトムントへの愛ゆえに彼の進むべき道を説くナルチス。そしてもたらされるふたりの和解――こういう友情を、ヘッセはほんとうに美しく描く。 ゴルトムントは母なる道を歩む。母とは彼のうちにある幼少の記憶であり、官能と感性であり、また生と死がはげしく相剋するこの広い世界である。 ここまでがだいたい第一部。 ゴルトムントは旅に出る。そこで出会う女たちと浮気な愛を重ね、そして彼が決して手に入れることのできない騎士の娘リディアと出会う。 後に出会うユダヤ娘レベッカとともに、彼はこのリディアを想起する。彼女たちは彼が本当に求めて手に入れられなかった愛を体現しており、それは秩序や信仰が支配する世界―同時にナルチスの住まうところでもある―であり、ゴルトムントが彼の道を歩みつづけるかぎり交わることのないもう一方の確かな道だ。 (書きながら。こういうところ、深いなあ…) ゴルトムントはヴィクトルという旅人を打ち殺し、立ち寄った教会でそのことを懺悔する。彼は教会のマリア像に感動して、それを作ったニクラウス親方に師事する。 そこで彼は彼の人生にひとつの意味を持たせるもの、すなわち芸術を発見するに至る。 ナルチスを象ったヨハネ像を作り終え、ゴルトムントが明朗に芸術について語る場面はぼくにとって心地いい。この小説にとっての「春」がこの場面だろうと思う。 第二部の終盤が「春」ならば、ペストの村々を放浪する第三部の序盤はさながら「冬」だろう。そしてぼくには、ここから物語の勢いが急に失速するように思える。その印象はラストのナルチスとの再会と対話の場面をもってしても盛り返せてない、とぼくには感じられる。 その決定的な別れ道がどこにあったかといえば難しいが、第二部の終盤でふたたび旅に出ることに決める内的独白がどうもくさいと思う。 p.275「彼が従わなければならないのは、芸術ではなくて、母の呼び声であった」「指をなおいっそう器用にすることが、何の役にたちえたろう?(略)名誉と名声、金と安定した生活とには達するが、同時に、あの神秘を開く唯一のよすがである内的な感覚を枯渇させ萎縮させるに至る」 たしかにゴルトムントは感性の人であり同時に放浪癖を生れもっているように描かれているけれど、ここの論理はどうにも甘い気がする。その証拠に、というわけではなが、ゴルトムントは第三部の旅にすっかり飽いてるようにぼくには思えるのだ。もっといえば作者のむら気が出てきてしまったというか。 ゴルトムントとナルチスの再会後の対話だっていまいちだよなあ。熱がないというか、比較するのはおかしいけどドストエフスキー並のドライブ感を期待してしまって裏切られたような感じではある。 よって☆ひとつ減じよう…かとおもったけど、移り気な愛、より堅固な愛、そして官能や芸術についてなど、やはり考えさせられる文章がとても多かったので満点つけたろ。
(メモ) ・構成がしっかりしていて話の展開も整っている ・ただ、デミアンや荒野のおおかみが好きな自分にとっては、やや整い過ぎている気もした ・「知と愛」という題名が好きだ。訳者が邦題としてつけたという。 ・二元論 ・厚い ・後半の一部は哲学語りそのもの
読んでいる間の身の震えるような感動は言葉にできない。心のいろんな所を揺すぶられた。近いうちにまた読みたい。
神に奉仕する学者ナルチスと、美に奉仕する芸術家ゴルトムント。 そんな二人の友情の物語で″知と愛″という邦題は見事。 対照的な生涯を送った二人が、最後に芸術を通して互いを認め、精神世界と思想を語る姿に感動しました。 清廉と官能が織り成す精神性の美しさに心が洗われるようで。 哲学的な作品でまだ理解しきれ...続きを読むてない部分もあるので、大人になったらまた読み返したい。
レビューというのは自分から距離が離れていればこそ、気軽にホイホイ書けたのだ。ヘッセのレビューを書こうとすると、思い知らされる。 苦しみを宿命づけられた生のなかで、人がその生と死を渡り仰せるだけの光ー平穏ー意味など、何かしらの確かさを見いだそうとする不断の努力。ヘッセという人の根底のテーマは一貫して...続きを読むいる。そして、そのような凄惨さの中に、美しく優しく人や世界が描かれる点も変わらない。 「シッダールタ」や「荒野のおおかみ」の変奏として「知と愛」を捉えることが適切かは分からない。けれど「シッダールタ」では主人公シッダールタが1人でくぐり抜けた聖者の修行と俗人の生活という2つのアプローチを、ここではナルチスとゴルトムントという2人の主人公に分けている。そのことで得た成果は大きい。キャラクターはより一般的、具体的になって、2人が同時に生き、対話することが可能になった。追求の形はいわゆる宗教的な「求道」一つではないこと、異なる手段を選んだ他者から受けとるものがあること、そしてそこにこそ「愛」があること。。求道と恋愛のストーリーに垣根はなくなり、より複雑で生き生きした普遍性が生まれた。 この「知」と「愛」の対話の構図は、多くの人にとって覚えのあるものなのではないかと思う。相手次第で時に自分はナルチスであり、またある時はゴルトムントであるような。
自分にとってはこの本を読まずに死んでいたら後悔するような本.ホントは★★★★★★つけたい.ヘルマン・ヘッセは大好きでずいぶん読んだが,自分の中ではこれがベストの著作だと思う(シッダールタも良かったが)
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