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エーランド島に美しい夏がやってきた。島でリゾートを経営する富裕なクロス一族の末っ子ヨーナスは、海辺で過ごす二年ぶりの夏に心躍らせていた。しかしある夜、ボートでひとり海にこぎだした彼の目の前に、幽霊船が現われる。やっとのことで陸に戻ったヨーナスは、元船長イェルロフのボートハウスの扉をたたく。少年から話を聞いたイェルロフは、不吉な予感を覚える……。一方その少し前に、復讐を誓うある男が島に帰りついていた。記憶と思いを丹念に描き上げた、エーランド島四部作をしめくくる傑作ミステリ!
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Posted by ブクログ
エ-ランド島に行って見たくなります。 情景描写が緻密で、作品の中に入り込んでしまいました。 話は独立しているけれど、1作目から読むのをお勧めしますよ。
エーランド島最終章。 犯人は20世紀初頭、義父と真天地を求めてソビエトに発った老人だ。極寒のシベリアや暗いKGB時代と、夏の賑わいをみせるリゾート地での出来事が交互に語られる。イエルロフの鋭くも愛のある眼差しが、事件を少しずつ紐解いてゆく。
何か読んだことがあると思ったら、シリーズ作で2作品を読んでいた。ミステリー度もあるが、かつての北欧が関わった歴史をよくしることが出来たし、年老いた人間の心情にも深く触れた。スターリンの恐怖政治、知ることが出来た。
エーランド島ミステリー四部作の最終話「夏」 シリーズ中最も賑やかなエーランド島で、舞台となるリゾート地もにぎやか。 対照的に描かれるのは、20世紀に出現した「ソビエト連邦」という国の内情。 希望と絶望の果てにひたすら「帰る」ことを夢見てきた一人の男の物語は、シリーズ中最も重い。 あんなに強大だっ...続きを読むたのに既に歴史地図にしか載らない「過去の国」。 でも、そこで行われた史実は、関わった人の記憶と共に生きている。 人にとって「帰るべき所」とはなんだろう。 終盤で、エーランド島から離れる船を前に娘は「父さん帰ろう」と言う。父にとっては「帰ってきた」場所から再び離れることになるのに……。 ラスト、イェルロフの乗る舟をエーランド島に「帰す」風とカモメたちが、彼を絶望から救い出す……あのまま終わらずによかったです。 これで春夏秋冬に合わせて全編終了しました。 変わらないこの島の自然や不思議な出来事を背景に登場人物の心の旅を描く、とても印象に残るシリーズでした。
ヘニング・マンケルやトム・ロブ・スミスを連想した。どんな不可思議な現象にも合理的な説明を見出すイェルロフは根っからの探偵気質だな。長生きしてよ。
エーランド島 4 部作の最終巻。 とてもよいシリーズだった。 過去が現在に浮かび上がってくる手法は磨きがかかり、 細かい描写の積み重ねが物語に厚みを与え、 北欧の夏を感じながら、心を動かされる。
シリーズ4作とも、とても面白かった。美しい北欧の島を背景に、土地の言い伝えを交え、過去と現在が交差する物語がスリリングに展開。4作を通して探偵役を務める老船長の人柄が素敵で、味わい深いミステリーシリーズになっている。 現在の北欧というと、今まで読んだ本や見たドラマでは、もっと暗くて荒んだイメージだっ...続きを読むたから、そうでない一面を感じられたのも良かった。
ミステリー。とはいえ推理を問う部分は薄く、癖のある人々の物語と人間関係が中心に描かれる。 男性的で暴力が支配的なスウェーデンのミステリーの世界も、スターリン時代と照らし合わせると、カリフォルニアのように明るい。その位、旧ソ連にまつわる回想シーンが殺伐とした内容(史実に基づくだけに)だった。 複数の人...続きを読むの視点が入れ替わり語り、時に過去の話が挟まれる構造だが、きちんと書分けられているので、混乱することはない。
エーランド島四部作完結編(うっかり三作目を飛ばしてしまった。。)。 老齢探偵イェルロフの遠い昔、少年時代の恐怖体験に始まり、現代の少年の幽霊船との遭遇、意味深な男のきなくさい帰郷。 序盤は物語がどこへ向かっているのかわからず、遅々とした展開。 次第に動き出す物語にいつしか引き込まれている自分に気...続きを読むづく。スウェーデンとロシアの関係性、大戦中の悲劇を重低音として現代で繰り広げられる復讐劇。 帰郷した男アーロンの人生を時間をかけて振り返り、人物像を積み上げていく過程が肝と感じた。 ちょっと地味だけど、どこか没入させられる静かな典型的な北欧ミステリ。 嫌いじゃないです。
穏やかに、丹念に、そして切なく語られるエーランド島シリーズ4作目。 心の中にゆっくりと波紋が広がっていく様な読書であった。 エピローグ。 風よ、彼を押し戻してくれてありがとう。
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