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やさしくて、茫洋として、卑下もせず、自慢もしない――。実際に生きているリアリティーを話し言葉を巧みに使って書かれた素直なことばが、混沌とした重層的な時空間をうみ出す、現代抒情詩の第一人者辻征夫(1939-2000)のエッセンス。全作品から70篇を精選し、自筆年譜を収録した。(対談・解説=谷川俊太郎)
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Posted by ブクログ
手をつけやすい値段だったのが買ったきっかけ。辻征夫という詩人についてもよく知らなかった。なんかかっこいいというのが率直な印象だ。野球の投手でいうと、なんか地肩が強いから過度に変化球に頼らなくてもいいような感じなのか。上手くいえないが、素直に出た言葉がそのまま使えるって感じ。『かぜのひきかた』ってまだ...続きを読む手に入るのかな。
現代詩のはずなのだが、ゲンダイシの先生方の作品と比べてずいぶんと平易である。あまり頻繁に言葉が逸脱しない。つまり、ひとつひとつの語が日常語的なコンテクストを離れ、差異をはじけさせて孤立して輝く、といった現代詩ではない。 むしろ日常的な風景をさりげなくえがきながら、不意に意外なイマジネーションに移行す...続きを読むる。そんなスタイルで、文壇の中ではかなり地味な存在だったにちがいない。 たとえば吉増剛造さん以降のような鋭い語の連発をめざす人々から見れば、辻征夫さんの詩はあまりにも平易だ。しかしもちろん、ここにもたしかに「詩」がある。 この詩人が将来の文学史に名を残さないにしても、それと「詩の真実」とは別である。だから最前衛だのなんだの、現代詩としての進歩だのなんだのといったことは考えないでいい。考えないようになりたい。
優しさが溢れ返らんばかりの口語詩。 おい、あのあしかの、あの眼つきを見ろ。あれはたしかに〈はじらい〉を知っているぞ。 で、ぐいっとつかまれ、 鼻と鼻が こんなに近くにあって (こうなるともう しあわせなんてものじゃないんだなあ) でそのチャーミングに撃たれ、 恋人の寝姿の傍らで昼の月を見る心...続きを読むについて思う。 人の中に在る蟻の涙ほどのちいさな無垢を信じる人間が、いてくれてよかった。
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