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戦争の死者とその弔い、国家と個人の関係を問うこと、服従か抵抗・自律か……。テーバイの王クレオンが仕掛けた侵略戦争で戦場から逃亡し殺されたポリュネイケス。王は見せしめに彼の屍を葬ることを禁じるのだが、アンティゴネはその禁を破って兄を弔い、伯父クレオンに抵抗するのだった。詩人ヘルダーリン訳に基づき、ソフォクレスのギリシア悲劇を改作し今日的意味を与えたブレヒトの問題作。
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Posted by ブクログ
非常に面白く、ギリシャ悲劇に興味を持てた。特筆すべきは、訳者・谷川道子さん(外語大名誉教授)の圧巻の解説!どういう経緯でブレヒトがこの改作に至ったのかを丁寧に記述してくれている。ウルフの『歳月』に出てくるアンティゴネ。その意味を紐解いていくのに非常に勉強になる情報ばかり。いくつか抜粋をば。 「それ...続きを読む故アンティゴネの論理は、単なる肉親の情愛の論理を超える。」(147) 「アンティゴネの反抗もまずは、国の掟は知らず、竈の掟、肉親の掟、人としての掟に誠実であろうとしたことから始まった。例えば『精神現象学』においてヘーゲルは、『アンティゴネ』を自覚的人倫共同体(国家の論理、公的領域、人間の掟、男の世界)と自然的人倫共同体(家族の論理、私的領域、神々の掟、女の世界)の対立と読み、アンティゴネの体現する神々の掟(私の世界)が圧迫からめざめた時(個我の誕生)、家族の敬愛という共同体の力を喪失し、これを破壊してしまった、ギリシアの国家共同体は崩壊した、と解釈した。」(149)
死を恐れずに自分が正しいと思う行為を堂々と為すアンティゴネ。それを人間らしさの表れだと受け取れるかどうか。傍観者でしかない長老たちを情けない奴らだと思えるかどうか。たくさんのことを問いかけてくる作品です。
面白い!『オイディプス王』のその後の物語。 クレオンの変わりよう! ブレヒトがギリシャ悲劇をもとに、現代性を感じやすくアレンジしたやつ。面白い。
とにかく読みやすかった。ソポクレスによるいわゆるギリシャ悲劇をブレヒトが改作したもの。ソポクレスよりもブレヒトが前面に出てきてプロットよりも脚色とコンテクストの部分が気になりすぎて、もう終わったの?ってなった。オリジナルを思い出せないので、そちらと比べてみる必要があるかと思っている。 しかし解説に...続きを読むあったブレヒトの「異化効果」っていうポリシーは印象に残る。芸術を情緒的なものとしてではなく、理性的なものとして現実理解の橋渡しとして使う。というよりもそれが本来の芸術だといわんばかり。「異化効果」という言葉の使い方がいまいちわからないけど、要するにメタ視点のことを言っている。ここが源流かなと考えた。 17.5.1
読書会の課題本。ギリシャ悲劇のソフォクレス著「アンティゴネー」をブレヒトがリライトしたもの。時代背景などもあるだろうが、かなり政治色の強いアレンジを加えている。好き嫌いが分かれそうだ。
テーバイの王クレオンが仕掛けた侵略戦争で、戦 場から逃亡し殺されたポリュネイケス。王は彼の 屍を葬ることを禁じるのだが、アンティゴネはそ の禁を破って兄を弔い、伯父クレオンに抵抗す る…。詩人ヘルダーリン訳に基づき、ギリシア悲 劇を改作したブレヒトの今日性あふれる傑作。
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