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「ああ小、小、男子など何でもない!」公家の姫君から女盗賊へ、戦国末世を流転する美貌の烈女いちご姫。二葉亭四迷と並ぶ言文一致の先駆、山田美妙(1868-1910)の新奇華麗な文体に明治の世は目をみはり、若き美妙は一躍文壇の寵児となった。挿絵の裸体画が論争を巻き起こした「蝴蝶」、「武蔵野」「笹りんどう」と同時代評を収録。注・資料を収録。
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Posted by ブクログ
空き地で紙芝居を見ているような気持になる(経験はないけれども)。講談を聞いているような文章が心地良い。 いちご姫が力強く、明治の作品でもこんな女性が描けるんだと驚き。
収録された4編は1887(明治20)年から1891(明治24)年の作。 二葉亭四迷と同時期に言文一致の小説を切り拓いた作家だという。しかし山田美妙の場合は、内容が鎌倉から室町時代を舞台にした時代小説なので、地の文が口語体であっても登場人物の台詞が古めかしい古語なので、二葉亭四迷のような近代性は感...続きを読むじられない。その地の文も、 「で、闇? 驚・・・あら、膝に加わる妖獣の手の生温い——ちッ! きっぱらってしまおうか。」 といったふうに、感嘆符が頻出するとともに、妙に「調子の良い」リズムの取り方が際立ち、「日常の口語」とは差異がある。 おまけに、どうもくどい文体で、一つのことを延々と「言い換え」し続けて無駄にページを費やし、なかなか話が進まないのがもどかしく感じられた。長編の「いちご姫」の前半はそれでじれったいような文章だった。 この「いちご姫」は、室町時代の公家出身の娘としてはずいぶん破格な女主人公が数奇な運命を経て凋落していき、やがて破滅に至るという、明らかにエミール・ゾラの影響が濃厚。物語内容としては興味深いが、姫の人格にあまりリアリティが感じられないようにも思った。 風変わりな「奇書」と言ってもよさそうな作品である。
まじめなのかふざけているのか判らないほどぶっとんだ内容のいちご姫は面白い。古典を引いたり故事を引いたりもこの作品に於いてはユーモアに映る。ただ、稍冗長。 武蔵と胡蝶は内容が薄く、同じように古典や故事を引いても、知識の披歴くらいにしか思えず、却って退屈だった。 山田美妙のことは詳しく知らないので、...続きを読むどの作品がどういう経緯で書かれてどういう評価を受けているのかまで知らないが、言文一致に尽力したという以外で何か評価できることは特にはない気もする。言文一致させたのはしかも山田美妙だけではなし。 この人は辞書も編纂していて、確かに語彙力とか古典故事には詳しかった模様。変態的に知識を蓄えていた森鷗外と比べてどうかまでは知らないが。
勇敢な女子(おなご)が次々と降りかかってくる災難に敢然と立ち向っていくさまに、心踊らされる。が、一方で、連れ添う男運のなさからか、頽廃への道を歩むことになり、憐れな結末を迎えることに…。
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