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哲学の多様さと難解さにひるんでしまう人は多い。しかし、各思想のエッセンスと思想間のつながりを押さえて眺めると「なぜそれが問題になるのか」「どうしてそういう考え方をするのか」という勘所が見えてくる。古代ギリシアから現代哲学まで、西洋形而上学から東洋思想までを網羅し、哲学を活用するためのガイドブック。
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Posted by ブクログ
哲学史について大まかに知りたかったので購入。 ヨーロッパ哲学の変遷と現代哲学の内容が9割を占めており、期待していた内容に合っていた。 プラトン、デカルト、カント、ニーチェの四人については特に詳しく記述されており、それぞれがどういった流れでその思想に至ったか、またその思想が後世の誰に影響を与えたかな...続きを読むどが分かりやすくまとまっていた。
ひとはなぜ生きるのか~状況的意味【哲学マップ】 今回紹介する書籍はこちら↓ 哲学マップ (ちくま新書) 概要 本書では哲学的な思考法(ルール)を4つ提唱している。 1.全体志向:個別の具体的事象ではなく全体を問題にする。 2,一歩、日常の外へ:全体を問うために、日常を俯瞰的に眺める。 3.形式的...続きを読む問い:具体的なディテールではなく、抽象的な物事を問う。 4.方法論的問い:問う際の探求方法が適切かどうかも問題にする。 また、本書では哲学的な問いを4つに分類している。 1.「~とは何か」 2.「それを問う私とは何者か」 3.1と2の掛け算 4.「なぜそうした問いを考えるのか」 これらは時代を経るごとに1→2→3→4と変遷していく。 1.「~とは何か」 古代ギリシャにおいて、「善とは何か」「美とは何か」など物事の本質を考える人々がいた。プラトンは現実の二項対立としての「イデア」を想起し、物事の本質は「イデア」であると提唱した。 2.「それを問う私とは何者か」 近世ヨーロッパでは、古代ギリシャの知見が復興(ルネサンス)し、キリスト教的知見と混ざり合った。天動説が否定され地動説が提唱されたりと今までの常識が通用しなくなる中、デカルトは「これこそは確実」といえるものを探求していき、その結果、「われ思うゆえにわれあり」に至る。 3.1と2の掛け算 デカルト的図式においては、主観による認識が問題となった。その認識において知性を重視する大陸合理論と、経験を重視するイギリス経験論が発展する。これら2つを調停したのがカントである。 カントは経験の前には「カテゴリー」がわれわれの認識メカニズムにあらかじめ組み込まれていると考えた。人間の脳特有の情報処理システムがある、というわけだ。 カントはその情報処理システムは認識・倫理・美学など分野毎に異なると考えたが、それらを統一しようと考えたのがドイツ観念論である(ヘーゲルなど)。 4.「なぜそうした問いを考えるのか」 ニーチェは従来価値とされていたものは弱者のルサンチマンに過ぎないと言い、価値というものの価値を否定した(ニヒリズム)。本質などというものは存在せず、固定的な自我という存在も否定した。その結果、哲学は「そもそもなぜそうした虚構を問題にしていたのか?」を問うことになる。 地道な分析が始まり、現象学的分析・言語分析・言説分析・精神分析などの分野が生まれた。 ひとはなぜ生きるのか~状況的意味 「ひとはなぜ生きるのか」という問いが本書の冒頭で想定される。 それに対して、終章で著者の考える「哲学者たちならどう答えるか?」が語られる。 その中で、メルロポンティの「状況的意味」という言葉が紹介される。 これは「状況に応じて各人の生き方や行為が動機づけられる」というような言葉である。 具体的な状況を想定してみる。 「将来プロテニス選手になるために生きる」。未来の目標・自己実現に向かって生きる。 「愛する家族のために生きる」。献身・奉仕こそが幸せだと。 「ローン返済のために生きる」。何らかの義務・責任のため。 「美しい空を眺める、この瞬間のために生きる」。現在を楽しむ、享受する。 何らかの状況を疑うことなくコミットできていて、眺望固定(byニーチェ)しているときには、その意味に没頭できる。 ただ、人は時折状況的意味から離れてしまうことがあり、そうしたときに「ひとはなぜ生きるのか」などの哲学的問いが生まれる。 ただし、状況的意味は流動性があるので、しばらく休んでいればあらたな状況的意味が稼働する。 メルロポンティは言う。 「生きることの意味はなにかとは言えない。けれども、つねに意味というものはある」と。 ー----------------- いかがでしたでしょうか。 メルロポンティの状況的意味は、平野啓一郎氏の提唱する分人思想とも似ているような気がしており、私的には非常に興味深かったです。 私とは何か 「個人」から「分人」へ アリストテレスとかロックとかフロイトとかいろんな哲学者が出てきましたが、今回のブログでは大幅に端折って、ざっくりと解説するにとどめました。 もしご興味がございましたら手に取っていただけたら幸いです。 ありがとうございました。
位置関係がよくわかるような書き方がされている。それぞれの哲学の前後だとか影響だとか点々と読んでいるとわからないことが多い哲学をある程度整理してくれているので助かる。東洋思想や現代思想にも触れている。新し目のものについてはこれは著者の興味範囲が出ていると思う。たとえば、フランクフルト学派などは出てこな...続きを読むい。が現代の枝は多岐にわたるので仕方がない部分もある。にしても、よく関連付けて書かれているので少しは哲学にまとまった印象を持つことが可能になると思う。
哲学史の全体を俯瞰するものとして、非常に良かったと思う。 僕たちが何かを学び始めようとする場合、全体を見渡せる「地図」を手に入れることはとても大事なことのように思う。その地図を手に、具体的な事柄に一つ一つ当たっていく。そのとき自分の今いる位置がわからなくなっても、また地図に戻ればすぐに確認できる...続きを読む。 しかし実際には、この世界全体を体系づけることは不可能である。世界志向の西洋伝統哲学は今や否定され、流動性が肯定されつつある。同じように、僕たちは何かを学びながら、全体を把握しようとする理解の体系をそのつど修正していかなければならない。そのことを、「地図」であるこの本はきちんと教えてくれている。 また、個人的には、この本を読む前に読んだ社会学系の本と、とある部分の主張が一致していたことにとても感動した。「それはなにかの「ため」ではなく、その瞬間こそに意味がある。」(235ページ)
一般読者向けなので,冒頭と末尾に「哲学を日常にどう位置付けるのか」というありきたりな議論が展開されている。 しかし,それ以外は専門的な内容を平易な言葉で扱っており,哲学体系を一通り理解する上でも極めて有用な書だった。ドゥルーズ(とガタリ)の説明が私には理解できなかったが,これは著者ではなくドゥルー...続きを読むズ(とガタリ)自身に問題があるのだろう。 ちなみに,「哲学」マップと言いながら描かれるのはほとんど「ヨーロッパ哲学」のみである。東欧はもちろん,アメリカ系統ですらほとんど扱われない点には注意が必要。
今まで読んだ哲学史の本の中で一番分かりやすかったように思う。しかし、ホワイトヘッドもジェイムスも出てこないのね。本論で出てくるアメリカ人はクワインくらいか。哲学=ヨーロッパを再認識させられました。
これまでに提唱されてきたさまざまな哲学(的主張)がどのようなもので、相互にどのようにかんけいしあっているのかが一望できるような「哲学の地図」を意図した本。古代ギリシャから現代哲学に至るまで基本的に時系列に沿って、代表的な哲学的主張を簡潔かつ分かり易く解説しつつ、哲学のもっとも基本的な思考図式を4つ(...続きを読む①「イデア/個物」図式、②「主観/客観」図式、③アプリオリなカテゴリー、④流動性の肯定)とりあげて、個々の哲学の位置を判定するための座標軸としている。 さまざまな哲学的主張の全体像をつかむのに適した好著で、優れた哲学史の入門書であるといえる。哲学の入門書では捨象されがちな現代哲学が、比較的手厚く取り上げられているのもありがたい。日本の近代哲学も含め東洋哲学をもう少し幅広に扱ってもらえたら、更に良かった。
哲学史を思考の発展の順番にたどりながら図示していくことで説明していくもの。 どうしても「誰が何を言った」というようなものは覚えられないのだが、どう流れて行ったかは把握できる。 すべてを説明してもしようがないし、できもしないので、「二項対立」のくだりから感じたことを。 ジャック・デリダが指摘したとい...続きを読むう、一見、同等に対立的な「男・女」「ヨーロッパ・アジア」の場合、「右・左(日本において、左が優位のように、完全に同等ではないかも?)」と違い、前項が無数の主体であり、後項が有数の客体であるというものだ。 まさに、自分の考える自己と他者の境界についてもそれで、自己が存在するから境界が気になるのではなく、他者があって初めて、自己に気付き、境界が気になるのである。世界がなく一人であれば、自己が気になろうはずもない。 そうした意味で、「自己とは一体何であろう」という疑問になる。 デリダの指摘から言えば、「男・女」は、「男とは何だろう」という問いであり、「ヨーロッパとは何であろう」という問いなのだ。後項は、世界に気付かせる触媒に過ぎない。 そのように考えていくならば、「何かを明確にする」とは、別の何かと対立させることによって輪郭を明確にしていく作業といえないだろうか。 本書とは外れていることだが、気づきとして記録しておく。
著者の貫成人は、現象学、舞踊美学、歴史理論・身体論等を研究する哲学者。 本書は、古代ギリシャから現代哲学までの西洋哲学を時代の流れに沿って整理・解説するとともに、東洋思想のエッセンス(仏教、道教、儒教、日本の思想)と読書案内を含む、哲学全体に関する概説書/ガイドブックとも言えるものである。 そして、...続きを読む西洋哲学については、その枠組みを以下のように整理をした上で説明を進め、 <哲学の発想・ルール> 1.全体志向、2.形式的問い、3.方法論的問い、4.一歩、日常の外へ <哲学の問い> 1.「~とはなにか?」(哲学的思考図式Ⅰ/プラトン)、 2.「わたしとは誰か、なにを知りうるのか?」(哲学的思考図式Ⅱ/デカルト) 3. 問い1.×問い2.(哲学的思考図式Ⅲ/カント) 4.「なぜそれを問うのか?」(哲学的思考図式Ⅳ/ニーチェ) 以降の現代哲学(言語分析哲学、現象学、実存思想、構造主義、ポスト構造主義)までをカバーしている。 その他にも、各時代の哲学者の思想の関係図が示されているなど、専門外の人間にとってもわかりやすいように説明する工夫が見られ、好感の持てる一冊になっている。 (2005年10月了)
[ 内容 ] 「哲学を学んでみよう」と思い立ったはいいが、そのあまりの多様さと難解さにひるんでしまう人も多いはず。しかし、それぞれの哲学者をほかの哲学者とのかかわりにおいて眺めてみると、「なぜそれが問題になるのか」「どうしてそういう考え方をするのか」という哲学の勘所が見えてきます。古代ギリシアから現...続きを読む代哲学まで、西洋形而上学から東洋思想までを網羅し、哲学を「思考の道具」として徹底活用するための実用ガイドブック。 [ 目次 ] 哲学の出発点 古代ギリシャ 中世における神と人間 近世における転回 哲学の「頂点」―近代 近代の不安 現代哲学へ 現代哲学(言語分析;現象学と実存思想;構造と流動性) 哲学マッピング 東洋思想 哲学で見る世界 哲学の問い、ふたたび [ POP ] [ おすすめ度 ] ☆☆☆☆☆☆☆ おすすめ度 ☆☆☆☆☆☆☆ 文章 ☆☆☆☆☆☆☆ ストーリー ☆☆☆☆☆☆☆ メッセージ性 ☆☆☆☆☆☆☆ 冒険性 ☆☆☆☆☆☆☆ 読後の個人的な満足度 共感度(空振り三振・一部・参った!) 読書の速度(時間がかかった・普通・一気に読んだ) [ 関連図書 ] [ 参考となる書評 ]
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