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吸血鬼であることを隠して生きるクロウ伯爵家の令嬢・フィーネ。ある夜の舞踏会、彼女は美しい神官・クラウスに正体を暴かれてしまう。 「――お前は今夜から、俺の恋人で、婚約者だ」 一族の秘密を守る代償としてクラウスが求めたのは、フィーネを婚約者にすること。吸血鬼を憎む彼は、復讐に彼女を利用するつもりだった。 策略から始まった婚約関係だが、互いの孤独を埋めるように二人は惹かれあい……。禁断の恋はやがて、クロウ家の秘匿された真実に辿り着く。
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Posted by ブクログ
なかなか面白かった! ストーリーの展開も二重に判明してくる構成もしっかりあり、生い立ちやヒーロー・ヒロインの感情の動きもきちんと描写あり。 ミスリードっぽい部分もありしっかり読めたので久々に楽しかった。個人的にノアがめっちゃ好き。
「お兄様」との歪んだ愛。 宿敵でありながら婚約者となったクラウスとの不器用な愛。 果たして勝つのは、どちらか。 設定が色々複雑に絡んでいるのもあって、終始情報を整理しつつ読んだ。 あまりに吸血が苦手なフィーネは、最初「お兄様」に作り出された元人間の吸血鬼なのかなと思ったら、違うし。 クラウスが顔も...続きを読む名前も忘れてしまった相手はフィーネなんじゃと思っていたら、最愛の彼女は「お兄様」に目の前で殺されていたし、何だったら途中少女にぼっこぼこに(本当にぼっこぼこに)痛めつけられていたので、「え、最愛の人は吸血鬼になって、人格が変わって、クラウスを痛めつけていたのでは?」とミスリードを起こしてしまうほど。 挿絵がないと、混乱しますね。 こちらの読解力の問題かもしれませんが。 なお、これらのことは、終盤になって真相が全て明かされます。 そして、予想はすべて覆されました。 容易に引っかかるいい読者なわたしである。 ただ真相が分かっても、終盤は「お兄様」の方にアドバンテージがあり、これはどうあがいてもクラウスとの幸せいっぱいなハッピーエンドは無理そうだなと絶望していたら、おおっと。 かつて決定的な言葉を交わさずとも思いを通わせあっていた「両片思いの二人」は見事結ばれめでたしめでたし。 ……となり切らないのが、振られた側が諦め悪く、未練たらたらに花を贈ってくるし、フィーネはフィーネで贈られた指輪を左手にしたままになるし。 あらゆる呪いを解くという幻花の力をもってしても決してこの呪縛は解けないのかもしれない。 まあ、結ばれた二人が幸せそうなので安堵はしましたが。 フィーネが吸血鬼であることは覆せない事実なので、今後の生活は苦労しそう。 特に未来にできるかもしれないお子様が。 どうかこの先二人とその家族が平穏に過ごせますように。 例え、それが小さな箱庭であっても。 ……世間には祝福されにくい気がするのだ、結局どちらと結ばれても。 だから閉鎖的な世界で暮らすことになりそう。 深読みすると結ばれても切ない気がする。 まあ、幸せはこちらの都合で決めるものではないのですしね。 ともかく、運命の恋人たちが「幸せ」に笑える生活を今後送っていけるように心から祈ります。
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染井由乃
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