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徳川家康のめぐらす謀りごとを実現すべく働き抜いた山口新五郎は、江戸開府後、六十歳を過ぎて初めて女体に接した。そして二度も十代の嫁を娶ることになる、この男の生涯を描いた「黒幕」。夫の仇と襲った相手が従容として、己れの左腕を斬り落とさせる姿に心を打たれ、その男の妻となる戦国の女を描いた「猛婦」。他に「勘兵衛奉公記」「槍の大蔵」など、初収録4編を含む11編を収録。
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Posted by ブクログ
短編集、11編ある。戦国時代のものから、幕末期まで多岐にわたっているが、それぞれが読み応えあり、まさに池波小説らしい。 池波小説に登場するのは、悪役であっても、どこか物哀しく、人間味がある。 人の一生には、思いもかけぬものが待ち受けているものとし、人生のさまざまな経緯にもまれていく様が、人間愛に基づ...続きを読むき暖かく表現されている。 作品に入り込んでいく事で、生きる力を与えてもらっているような気さえします。素晴らしい。
軽い命と重い命があるようだ。 昔も今も。 本物の夫婦とはどういうものか、なんとなくわかったような。 おもしろい本だった。
敵討ちの相手の男とくっついてしまった女性を書いた「猛婦」を池波氏のエッセイで知って読みたくて手に取りました。戦国の世だから男も女も血が燃えているから、思いがけない結び付きが生まれる、とは氏のエッセイの言ですが、面白かったです。
昭和36年から41年までの間に小説雑誌の御三家といわれた「小説新潮」「オール読物」「小説現代」等に発表された作品が11編収録されている。なかでも、「猛婦」「槍の大蔵」「命の城」「獅子の眠り」は池波さんの得意な真田物。その他も池波さんらしく男と女の描き方が卓越!
戦国の世を中心とした短編11の作品。女性でありながら戦乱の世で毅然と生き抜く逞しさや強さに感動する「猛婦」、「夫婦の城」が良かった。また、時代背景が違う「開花散髪どころ」では幕末の志士たちの不思議な運命や実直さを感じる。
山中鹿之介 渡辺勘兵衛 福島正則 真田昌幸 真田信幸等 戦国の世と後世とに生き様示す短篇集。池波作品代表格の一である『鬼平犯科帳』が “勧善懲悪” でないのと同様 戦乱の世に 必ずしも勝敗ではなく自己貫徹を第一義とする 氏の人生観が展開される。 個人的には此は継父の遺品で 彼の書架に見つけた時は意...続きを読む外な共通項をも発見したような心地になった。生前 戦国時代や池波作品に関して語り合ったことは殆ど無かったが だから唯一 「福島正則や加藤清正」のような猛将が好きだ と言っていたのは忘れられない。
なぜか美女が出てこない、美しい顔は男ばかりである。 さんはよく、女は化け物、扱いをするけれど、男の方が社会的害悪が大きいなぁと読みながら思った。最後の「開化-」が生気があってしぶとくたくましく面白かった。
戦国期から江戸へかけての短編集。ここから「英雄にっぽん」「戦国幻想曲」「真田太平記」など、長篇小説につながる短編もあります。夫婦愛をテーマにした短編が多く、どれも粒ぞろいだが、特にお勧めは毛利勝永が主人公の「紅炎」だ。
初めて読んだ。 云わずと知れた時代小説の大家が著した数多くの短編小説。その中から、女性の活躍や夫婦の絆をテーマに編まれた珍しいアンソロジーの一冊。 これまで長編ばかリ読んで来た著者の短編を読むのも今回が初めてではないか。そのくらい、ある意味新鮮な気持ちでリズム良く読み進めたのも良かった。 重厚な長編...続きを読むも良いが、この紙数の短編にも実に読み応えがあることに感銘を受ける。中にはNHKの大河ドラマでおなじみの主人公も数多く登場し、読みながら、その映像とシンクロしながら味わえたのも思わぬ一興だった。 他にも同著者の短編集を手に取ることがあれば、また是非読んでみたい。
「家は人が生まれ、人が育つところ、これ一個の国。」 これは、大阪の陣で活躍した毛利勝永(かつなが)を主人公にした「紅炎」からの一節。 勝永は真田幸村と共に徳川家康を、後一歩まで追い込んだ武将。 豊臣家に多大な恩を感じていた勝永は、秀頼公のために一命を捧げたいと思っていたが、自分が大坂に味方すれば、...続きを読む残った妻子が難儀すると一度は大坂入りに難色を示した。 しかし、妻より「君の御為の働くは家の名誉です。残る者が心配ならば、私達はこの島の波に沈み一命を絶ちましょう」と励まされ、大阪入りする。 近頃、躾のため置き去りにされた子供が行方不明になる事件があったが、家庭はしっかり運営する必要がありますね、 表題の「黒幕」の他「猛婦」「勘兵衛奉公記」「槍の大蔵」「紅炎」など11編が収録されている。
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