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清潔な都市環境、健康と生産性の徹底した管理など、人間の「自己家畜化」を促す文化的な圧力がかつてなく強まる現代。だがそれは疎外をも生み出し、そのひずみはすでに「発達障害」や「社交不安症」といった形で表れている。この先に待つのはいかなる未来か?
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Posted by ブクログ
ホモ・サピエンスのビッグヒストリーの中で「自己家畜化」をキーワードの現代社会の成立過程とその影について、哲学、精神医療に触れながら述べられている。本書は自己家畜化というワードに対して善悪の断罪を行うことなく、これまでの影響とこの先の未来について描いていた。
『人間はどこまで家畜か』もうタイトルにぎょっとする ここでいう人間の家畜化というのは、現代の人間はより穏やかで安全な文化に適応して生活しているのだけれど、 この文化がより高度なもの、より礼儀正しく感情を荒げることなく他者と協力的なコミュニケーションを取れることを人間に求めるようになってくると 不適応...続きを読むを起こし、文明からこぼれ落ちていく人間が増えていくばかりではないかという懸念ともっと動物としての人間にやさしい未来を考えるべきではないかという警鐘を鳴らす本であった。 たしかに現時点で精神疾患が学生だと不登校、発達障害なんかも増えており、そういった判断や治療が行き届くこと自体は喜ばしいことだけれど、 結果的にふるい落とされた人を排除していることにならないかという指摘には頷いたし、こういった生産性を希求する姿勢そのものがもう限界にきていると思った 熊代氏の言うように高度な文明に生きる人間というよりも、もっと動物的な部分にフォーカスする未来のほうが大人も子どもものびのびと過ごせるのではないかなと思う
人類は自己家畜化を図ることで社会の豊かさや清潔さを求めてきたが、それに伴い動物的な側面は切り捨てられている。 例えるなら、ドラえもんでいうのび太(授業に集中できない子供)やジャイアン(暴力をはたらく子供)は治療や排他の対象になった。 過剰な自己家畜化とそれに取り残される人々という現状把握。 更に...続きを読むそこからの未来予測。
犬や猫は自己家畜化した動物。自ら家畜になった。人間も同じ。 動物園の動物に似ている。動物園の動物は繁殖ができない。ホッキョクグマは、半年以上生きられたのは122頭中16頭。 自己家畜化とは、人工的な環境でより穏やかで協力的な性質に自らを変化させること。 『暴力の人類史』によれば、人間の暴力性や衝動性...続きを読むが減ってきている。 現代人は理性的で合理的、感情が安定しているように強制されている。それができない人が精神病になるのではないか。 アナール学派=社会が変わるとルールや生活習慣だけでなく感情や感性まで変わる。 家畜化したギンギツネの実験。攻撃性が少ないキツネを交配することで、13代でペットとして買えるほどになった。 その特徴は、小型化する、顔が平面的になり前面への突出が小さくなる、犬歯など歯は小さくなり顎が小さくなる。性差が小さくなる。角が小さくなる、脳が小さくなる、繁殖周期の変化。 ホルモンの変化で攻撃性が少なくなる。白い斑点ができるのはホルモンのせい。色素を作るメラノサイトが端まで移動できず、尾の先端や足の体毛が白くなる。副腎の大きさも機能も小さくなり、感情的情動的反応が穏やかになる。象牙芽細胞が少なくなり歯が小さくなる。脳の成長が遅れて小さくなる。性ホルモンが変化し、発情期や生殖サイクルが変わる。 人間にも自己家畜化が進んだ。歯、口、顎のサイズが時代とともに小さくなる。人類は火をあやつることで大きな脳を持てるようになった。消化率がよくなった。ホモサピエンスはネアンデルタール人より脳が小さくなった。脳の使い方が変化した。攻撃性が減って野生動物としての感情的な反応が低下した=穏やかな感情を身につけた。野性的な脳から家畜的な脳へ変わった。文化がヒトを進化させた。動物と穀物を養うと同時に人間も家畜化されたのではないか。 人類は唯一の耐火種である=火を見て温かい気持ちになるおは人間だけ。 攻撃性は反応的攻撃性と能動的攻撃性がある。セロトニンのおかげで、反応性は減ったが、能動性は減っていないため戦争はなくならない。 子どもは「7つ前までは神のうち」死亡率が高い。 かつてはいつ死ぬかわからないという死生観を持つしかなかった。飼いならされた死。 資本主義の定着で、社会契約の遵守が重要になった。 いつ死ぬかわからない死生観では、資本主義は成り立たない。社会契約の中で資本主義や個人主義という思想通りに生きることを余儀なくされている=新自己家畜化。 現代の精神を病む人たちは中世では英雄だったのではないか。 ADHDやASDはスペクトラム的な疾患概念なのため、境目ははっきりしない。有病率は3%、4%とされている。 文化的な自己家畜化についていけない人が精神医療にかかる。 ナチスドイツは、向精神薬で恩恵を受けて、最後は弊害とともに崩壊した。 成功同意書は、性行為の領域に功利主義や社会契約のロジックを導入するツール。自由を尊重するようにみえて、自由を管理させるものではないか。 自己家畜化はゆっくりした変化だったが、文化的な自己家畜化は急速で、恩恵のほかに疎外を生み出している。
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人間はどこまで家畜か 現代人の精神構造
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