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村山由佳 デビュー30年記念作品 原点回帰にして到達点。猫、犬、馬、人形など、異質な存在との交歓によって導かれるカタルシス、圧倒的な熱量をはらんだ作品集です。 収録作品 晴れた空の下 同じ夢 世界を取り戻す グレイ・レディ 乗る女 訪れ
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Posted by ブクログ
男女間の恋愛話にあまり心惹かれなくなっていたのだけど、ここにある様々な愛の話がじんわりと温かく、新しい世界を知った。「グレイ・レディ」が好き。
例えばぬいぐるみ。猫もいれば馬もいる。愛し合う者たちのそばに寄り添う彼らの話。 もう嫌というような目に遭っても、人や人生は、とことん付き合ってみるまでわからないもの。 そんな目の滲むような希望を、ほの明るく書いてくれた。
村山さんは10代の頃に読んだ天使の卵とおいコーシリーズぶり。 どの短編もよかったです!!忙しい毎日で見逃してることやフタをしている気持ちにそっと寄り添ってくれる物語です。 近くの大切な人やもの、今まで忘れかけていた昔の記憶を改めて大切にしようと思いました。 晴れた空の下 と 訪れ が特によかったで...続きを読むす。
読み終わるとタイトルがとてもしっくりくる。 「大人になると選択肢は増えるけど、心は縛られることが多くなった気がする」といった主旨のことを村山さんが書いていた。それにもとても共感。
久々に村山さんの作品を読んだ。 どの話も、少し泣けて心を動かされるものでした。 人と人、人と何かの関係性、過去と今、などが色々絡み、また色々な視点からの話があって、とても興味深く、面白く読めました。
6つのまるでおとぎ話のような 少し切なくて残酷で圧倒的な幸福感に包まれた 短編集でした。 物語を読み進むにつれ思い出したのは 子どもの頃、物語を一つ読み終えるたびに感じていた胸が震えるようなあの気持ち。 すっかり忘れてしまっていた感情を再び味わえるとは・・・ こんな素敵な本に出会えてうれしい。
白ムラヤマと黒ムラヤマと融合した作品が、たっぷりと味わえる大人の寓話! 著者の、人にも生き物にも深い愛情が沢山詰まっている。 「晴れた空の下」 読み終わってから、ジーンと涙が出た。 「グレイ・レディ」 ナンタケット、素敵な主人公だった。 「乗る女」 やっぱり馬が出てきた! 「訪れ」 戦争で...続きを読むの体験の話は辛いものがあった。 著者の父親も確かロシアの捕虜になったはず。
村山由佳先生の作品は絶対的安定感がある。収録された6つの寓話もじんわりと心に沁みてくる。人、動物、バッグ…みんな愛で繋がっている。『じゃあ、いってくらぁ』言葉の選択が秀逸。感涙。
いつもなら文庫本が出るのを待つのですが、表紙の絵に一目惚れして購入しました。全部好みの雰囲気の物語で、読んでよかったなぁとしみじみ思いました。その中でも「グレイ・レディ」が一番好きです!
読書備忘録822号。 ★★★★。 去年1月の村山作品。 村山さん、同い年だからなんとなく親近感を感じるんですよね。笑 あとがきに書かれていましたが、幼い頃から<人>と<人ならざる者>の交情の物語に強く惹かれていたそうです。 村山さんの育った環境なんて知る由もありませんが、動物、人形、モノとの触れ...続きを読む合いに慰めを見出していたとのこと。 この短編集の多くもそんな感じです。笑 作家になって30年。原点回帰という以上に<自分ならざる者>に生まれ直すための新たな出発点になる作品とのことですので、次作が楽しみです! 「晴れた空の下」 若年性認知症になった女性が、お医者様???に昔話を聞いてもらっている。 「ねえ、先生。エルの話を聞いて。」それは小さい頃父親が海外出張で買ってきてくれたぬいぐるみ。カエルのエル。彼女とエルの交情と、最愛の夫との消えゆく記憶の物語。 「同じ夢」 ミュージシャンの男と付き合っている女。 バンドメンバーがオーバードーズで死んだ。彼が飼っていた犬のジョンを引き取った男。 女は男の部屋で「美女と野獣」を観ている。 最終的にジョンは女に引き取られる。「ねえ、同じ夢を見ようね。絶対に王子様なんかにならないでね・・・」 オス犬と女性の交情。 「世界を取り戻す」 母であり妻である女性。そして、女性誌の副編集長でもある。受験を控える息子の悩み。何にでも文句を言う反抗期の娘。夫との距離。疲れた・・・。 動物病院の取材。飼い主に捨てられた、いつ死んでもおかしくない老猫と出会い、引き取る。昔飼っていた猫と被る・・・。 わずか1週間の猫との交情。そして彼女はスッキリクッキリした世界を取り戻す! 「グレイ・レディ」 アメリカ東海岸の小さな島ナンタケット。頻繁に霧に包まれることからグレイ・レディと呼ばれている。そこで作られる手編みのバスケットはナンタケット・バスケットと呼ばれる。バスケットが主人公。笑 巡り巡って出会った、日本のインテリアショップオーナーの女性とバスケットの交情。 「乗る女」 幼い頃母を失ったさとみ。母亡き後、父から束縛された。束縛から逃げるために北海道に。そこで馬に出会った。乗馬中の事故で大けがをして北海道を離れた。 自分の娘も自立し、数十年ぶりに再び北海道へ。最愛の馬との交情の為に。 「訪れ」 自分史なるものの代筆を営む高野麻里。 高齢男性、光石禄郎の自分史作成を依頼される。 太平洋戦争終戦からのシベリア抑留。労働の最中に負った怪我で診療所に。 そこで出会った看護師のマリア。1度だけの激しい情事。 時々マリアとの情事の夢を見る。夢から覚めるとマリアが夢で噛みついた部位に聖痕が浮かぶんだ、と。 自分史は満足のいくものに仕上がり、禄郎は旅立った。棺に入った禄郎の手には交情の跡が。 まあ、マジョリティの自分からすると、若干危ない世界ですけどね。 寓話なのでファンタジーです。楽しめました!
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